カツ丼小僧と有名人のドスケベ座談会 666

カツ丼小僧

「はい。

 今日もお集まりいただいて、ありがとうございます、………。

 ドスケベ座談会、第666回目、………

 666は、悪魔の数字、……何か良からぬ事が起きなければいいのですが、………。

 それでは、筒井さん、お願いします。」

 

筒井康隆

「うん。666は、古代ローマ帝国皇帝、暴君ネロを指しているとも言われている。

 独裁者は、やっぱり悪魔になるのか、? カツ丼さん、あなたも気をつけて、………。」

 

カツ丼小僧

「……………。」

 

一同

「……………。」

 

筒井康隆

「あれ、? どうしたの、?

 今日は、女性からの声援がないな、? ちょっと寂しい、………。

 おい、司会者、……これでいいのか、? なんとかしろっ、………。まあいいや、……。

 とりあえず講義を始めるから、……黙って聴けいっ。」

 

一同

「?、?、?、?、?、」

 

筒井康隆

「やあ今晩は。

 老年の希望の星をやっております、筒井康隆です。

 今年で戌年の八十四歳。

 

 わたしと同い年生まれは、作家だと、………

 

 吉田知子、 長部日出雄、 ハーラン・エリスン、 内田康夫、 山田太一、

 

 井上ひさし、 眉村卓、 灰谷健次郎、 宇能鴻一郎、 なんて人たちがいて、………

 

 その他では、………

 

 財津一郎、 ケーシー高峰、 黒川紀章、 原哲男、 宝田明、 白木みのる、

 

 中村メイコ、 堤義明、 愛川欽也、 米倉斉加年、 田原総一朗、 坂上二郎、

 

 海老沢勝二、 藤村俊二、 石原裕次郎、 司葉子、 牧伸二、 横山光輝、

 

 倉本聡、 大橋巨泉、 なんて、たくさんおりましたが、だいぶ死にましたね。 」

 

 

一同

「……………。」

 

藤子不二雄A

「ぼ、僕は、………? 」

 

カツ丼小僧

「ええ、……筒井さんと同じ、昭和9年生まれは、他に、………

 

 藤子不二雄A、 長門裕之、 東海林のり子、 中島貞夫、 森岡賢一郎、

 

 山本文郎、 団巌、 大月ウルフ、 松平直樹、 天田俊明、 初代引田天功、

 

 藤村有弘、 玉置宏、 と言う人がいますね。わははははは。」

 

筒井康隆

「お、おい、……なんだ、お前、………ちょっと待てよ、………。

 お、俺と張り合おうっていうのか、………、? 許さんぞっ。」

 

カツ丼小僧

「い、いえ、……な、なにも別にそういうつもりじゃ、………。」

 

筒井康隆

「おい、……………。」

 

カツ丼小僧

「……………。」

 

一同

「……………。」

 

多岐川裕美

「今日の筒井さん、……一体どうしちゃったのかしら、?

 何か様子がおかしいわ、? 普段は温厚な人なのに、………。

 ………あっ、……も、もしかしたら、悪魔の数字「666」が憑りついたのかも。」

 

一同

「えぇ~~~~~~~~っ、???!!! ま、まさかっ、??? 」

 

華子

「お、お母さんっ、怖いっ、……そういう話は、やめてっ、………。」

 

吉野公佳

「エコエコアザラク、………エコエコザメラク、………。」

 

筒井康隆

「わははははは、……… 」

 

出川哲朗

「ぎゃははははっ、………。こわくねぇよ~~~~。」

 

筒井康隆

「こんなことぐらいで、恐れおののいてどうするっ。これからじゃっ、………。

 死とは、悪魔じゃっ、………。こいつに睨まれたら、………。

 

 昭和9年生まれのこの人たちとの共通点は、主に国民学校に変わった年に、

 国民学校一年生になったということぐらいですかね、………。

 

 だから支那事変、太平洋戦争も経験していて、今日も学校に行けるのは兵隊さんの

 お蔭です、お国のために戦った兵隊さんよ、ありがとう、なんて歌もあって、

 「お国のために殺された」なんて歌って、教師にぶん殴られたりもしましたが、

 

 当時はいずれ戦争に行って敵をいっぱいやっつけて、自分も名誉の戦死を遂げるんだ

 なんて思っていたりしたんでしょうけど、生憎子供だから実感でそう思ってるわけ

 じゃない、………でも勇ましいことを言うと褒められて、替え歌やったら殴られる

 ということくらいは、わかっていた筈です。 」

 

出川哲朗

「ぎゃははははっ、………。

 筒井~~~、おめぇ、わかっていてやったのかよ~~~~。

 ガキのくせして、確信犯じゃねぇかよ~~~~~。

 それって、確実に悪魔の申し子だろ~~~。」

 

筒井康隆

「自分が死ぬということについては、機銃掃射をやられた時に足ががくがくと

 顫(ふる)えて、庭への石段が上がれなかったにかかわらず、それが面白くて、

 けたけた笑っていたくらいだから、まだまだ死を認識できていなかったんでしょうな。」

 

出川哲朗

「筒井~~~、おめぇ、やっぱりどっかおかしいよ~~~~。」

 

有村架純

「機銃掃射やられて、けたけた笑っていたなんて、………。不気味、………。」

 

出川哲朗

「有村~~~、

 そう言えば、おめぇの姉ちゃん、どうなったんだよ~~~。

 最近、見ねぇけど、………

 おめぇの姉ちゃんの出現も、ちょっと不気味だったけどな~~~。ふふふふふ。」

 

有村架純

「確かにお姉さんは、私と違って人気は出ませんでした。

 でも、……他人に姉の悪口を言われるのは嫌です、……やめてください。」

 

出川哲朗

「わはははは。おめぇ、さりげなく自慢すんなよ~~~。かわいくねぇぞ~~~~。」

 

有村架純

「も、もうやめてっ、………なんて事を言うの、………。

 鬼っ、悪魔っ、………うっ、うっ、うっ、………ひっく、ひっく、………。

 だ、だから、出川さん、抱かれたくない男 No.1なのよ~~~。」

 

出川哲朗

「うひひっ、………。」

 

アントニオ猪木

「こらぁっ、! ! 出川~~~~っ、! ! !

 こんなかわいい子泣かせて、どうすんじゃ~~~~~~~っ、

 闘魂ビンタ注入します。1、2、3、……… 」

 

出川哲朗

「………す、すいません、………。アントニオさん、………。ひっく。」

 

一同

「わははははは。」

 

筒井康隆

「周囲で何人死のうと何十人死のうと、自分だけは絶対に死なない、

 というのが子供の考えですね、………。むしろ死が身近にあった方が面白い。

 

 英霊が帰って来た時だって、歩いて帰って来るわけじゃない、

 白木の箱に入って帰って来るわけで、沿道に何度も整列させられましたが、

 それを自分の未来の姿として見ることは、なかったなぁ、………。

 

 驚くべきことには当時、

 「昨日生まれた豚の子が、弾に当たって名誉の戦死。豚の遺骨はいつ帰る。」

 なんて、ひどい歌が流行っていたんですよ、………。

 あれで、憲兵に引っ張られた奴、だいぶいるんじゃないかな、………。 」

 

さだまさし

「う~~~ん、………なんか、一曲、歌いたくなってきたなぁ、………。

 映画『二百三高地』の主題曲、♪『防人の詩』でも、どうかな、………。」

 

タモリ

「暗いなぁ、………。」

 

さだまさし

「ん、……? でも、今日は悪魔の回数666だし、……いいんじゃないの、?

 たまには、こういう歌だって、………。皆さんのお気に召すと思います。」

 

タモリ

「うん、……じゃぁ、歌ってみてよ、………。オレ、耳塞いでるから、………。」

 

 

   さだまさしは、係の者にマイクを渡され、おもむろに立ち上がると、

   ひとつコホンと、咳払いをして、名曲♪『防人の詩』を歌い始めた、………。

 

 

 

    ♪防人の詩             

 

(作詩 さだまさし 作曲 さだまさし)  

                      

 

 おしえてください              

 

 この世に生きとし生けるものの

 

 すべての生命に限りがあるのならば

 

 海は死にますか 山は死にますか

 

 風はどうですか 空もそうですか

 

 おしえてください

 

 

 私は時折苦しみについて考えます

 

 誰もが等しく抱いた悲しみについて

 

 生きる苦しみと 老いてゆく悲しみと

 

 病の苦しみと 死にゆく悲しみと

 

 現在の自分と

 

 

 答えてください

 

 この世のありとあらゆるものの

 

 すべての生命に約束があるのなら

 

 春は死にますか 秋は死にますか

 

 夏が去るように 冬が来るように

 

 みんな逝くのですか

 

 

 わずかな生命の

 

 きらめきを信じていいですか

 

 言葉で見えない望みといったものを

 

 去る人があれば 来る人もあって

 

 欠けてゆく月も やがて満ちて来る

 

 なりわいの中で

 

 

 おしえてください

 

 この世に生きとし生けるものの

 

 すべての生命に限りがあるのならば

 

 海は死にますか 山は死にますか

 

 春は死にますか 秋は死にますか

 

 私の大切な故郷もみんな

 

 逝ってしまいますか

 

 

 海は死にますか 山は死にますか

 

 春は死にますか 秋は死にますか

 

 愛は死にますか 心は死にますか

 

 私の大切な故郷もみんな

 

 逝ってしまいますか

 

 

 

   さだまさしが、♪『防人の詩』を熱唱し終えると、

   しばらく黙っていた一同の者たちも、満面に悪魔の笑みを湛えて、

   さだまさしに、惜しみのない拍手を贈った、………。

   場内は、だんだんどんよりと暗くなっていった、………。

 

 

一同

「あれ、? どうしたんだ、………? 部屋が暗いぞ、……。停電か、? 」

 

カツ丼小僧

「………いや、そうじゃないでしょう、………。

 灯りがパッと消えたわけじゃない、………。少しずつ暗く、………。」

 

女性一同

「キャァァァ~~~~~~~~~ッ、こわぁぁ~~~~~~~いっ、」

 

筒井康隆

「わははははは。悪魔が降りてきたんじゃ。わしにはわかる。

 さだまさしよ、ありがとう、………。」

 

カツ丼小僧

「つ、筒井さん、……どうしますか、……?

 きょ、今日はもう、この辺で、お開きにしますか、? 怖くなって来た、………。」

 

筒井康隆

「わははははは、………。

 おまえ、この期に及んで、何を怖気づいとるんじゃ、………。

 ここまで来たんだから、とことんやろう、………。さあやろう、ふふふふふ。」

 

女性一同

「えぇ~~~~~~~っ、???!!! きょ、今日は、もういいですよ~~~~~~~っ、

 これ以上は、私たち、もう無理ですよ~~~~~~っ、

 怖くて、耐えられませぇ~~~~~~~~んっ、

 オシッコ、漏れちゃうぅぅ~~~~~~~っ、……Haあaaa~~~~~~ん♡♡。」

 

筒井康隆

「わははははは、………。

 道理で今日は冒頭で女の声援がないと思ったら、こういう事だったんだな。

 こうなることは、あらかじめ決まっていたとも言える。これは運命だ,! ! 」

 

 

   するとそこへ、どこからか、不気味で甲高い笑い声が聞こえて来た、………。

   その声は、部屋中にこだました。

 

 

   わははははは。わははははは。

 

   筒井、……。言ってることが矛盾してるじゃないか。

 

   お前は、無神論者なのだから、「運命」と言うものは、当然信じないのだろう。

 

   お前の言ってることは、何から何まで、全て間違っている。

 

   何故なら、お前は二流作家なのだから、………。

 

   わははははは。わはははははは。わははははははは。

 

   クソひって、早く寝ろ。わははははははははは。

  

   

筒井康隆

「な、何っ、……?!」

 

一同

「だ、誰だっ、???!!! 何者だっ、……???」

 

女性一同

「きゃぁぁ~~~~~~~~~~っ、???!!! こわぁぁ~~~~~いっ、」

 

 

   薄暗い部屋の中で、恐怖に震える一同&筒井康隆、………

   一体、声の主は誰なのか、………?

 

   部屋の襖が開いて、謎の人物が正体を現した。

   

   それは、1983年(昭和58年)、京都大学人文学科学研究所為の助手時代に、

   フランス現代思想を解決した『構造と力』を出版し、

   それが、15万部を超すベストセラーとなった

   現・京都造形芸術大学院長の、浅田彰だった、………。

   

   彼も、カツ丼小僧と同じく、度の強いメガネを掛けていたが、………。

   その眼鏡の奥からは、鋭く不気味な眼光が放たれていた、………。

   暗闇の中で、2つの眼光だけが目立っていたが、

   すぐに、パッと灯りがついて、場内が明るくなった、………。

 

 

筒井康隆

「あっ、…… お、お前は、お、俺の宿敵、………あ、浅田彰、………。

 い、いや、……お、俺は、こんな奴、相手にしないぞ、………。」

 

カツ丼小僧

「なんだ、批評家の浅田彰さんでしたか、………。

 びっくりしました、……始めまして。我が座談会へようこそ、………。

 

 それではこれから、筒井さんとじっくり、………

 と、言いたい所ですが、今日は、これで時間です、………。

 すいませんが、楽しい筒井さんとの対談は、また次回ということで、………。」

 

 

浅田彰

 

   「筒井康隆氏は、やはり、絶対、間違っている ! ! 」