カツ丼小僧と有名人のドスケベ座談会 664

カツ丼小僧

「それでは筒井さん、………。

 昨日の続き、……

 哲学者ハイデガーは、「死」のことを『最極限の未了』と呼んでいたそうですが、

 では、その『最極限の未了』とは、どういう事を言っているのか、?

 そこからですね、………。よろしくお願いします。」

 

女性一同

「筒井さん、頑張ってぇ~~~~~~~っ、♡♡♡。

 尊敬してまぁぁ~~~~~~~す、でかち○ぽ、突っ込んでぇ~~~~~~~~~っ。」

 

筒井康隆

「む、……むほほほほ。うんうん。これで、今日も一日、気分がいい、………。

 むははははは。むははははは。むははははは、………。でへっ。でへでへ。」

 

男性一同

「でへへへへっ。」

 

出川哲朗

「いいなぁ、……女の子の声援、………。」

 

筒井康隆

「そう、……男は、この喜びのために生きてるようなものでしょう、………。

 死んでしまったら、こういう体験もなし、………。では、始めます。

 

 『最極限の未了』とは、何か、………?

 まず『最極限』とは、これはわかりますよね、………。

 最終的な極限だから、そこから先はない。極限の極限。どんづまりって意味です。

 

 じゃあ、『未了』というのは何か、………?

 これは、まだ終わっていないという意味です。終了していない。

 最終的な極限なのに、終了していないとは、どういうことか。

 

 これは人間というものは、死の真ん前まで来て、これから死ぬ。すぐ死ぬ。

 今死ぬという時になっても、人間としてはまだ終わっていないってことです。

 

 いくら、おれはもう終った、おれは功成り名遂げた、金は山ほどある、

 借金は全部返した、女にはもう飽きた、だいたいが男の機能は失ってセックス不能だ、

 だからもう終ったんだと言ったところで、まだ終わっていないんですよ。

 

 突然息吹き返して、わははははは、あと三十年生きるってことになるかもしれない。

 裏山から金が出ましたというので、銀行に百億円が振り込まれてくるかもしれない。

 昔書いた小説が突然原因不明のベストセラーになって、また名前が売れて、

 有名人の列に新たに名前が加わるのかもしれない。

 だからこれで終わりというのは、人間にはないんですよ、………。 」

 

 

中村玉緒

「でも、勝新太郎さんは、もうこの世にはおりません、………。」

 

市川海老蔵

「ま、麻央も、……うっ、うっ、………。」

 

大橋寿々子

「しゅ、主人も、すでに、………。」

 

カツ丼小僧

「僕の両親は、いまだ健在です。」

 

筒井康隆

「いや、そうしたことは死んだ後にだって起こり得るんです。

 死んでから、例えば悪事がバレるとか、可愛がってた女が妊娠するとか、

 功労賞を頂戴するとか、へそくりが発見されてしまうとか、

 生きていたときの自分には起らなかった、何ごとかが起きる。

 

 そう考えて見りゃぁ人間には、死というものは、そもそもないんだとも

 考えられますねぇ………。

 いやいやこれは、ハイデガーが言ってるんじゃなく、

 私がそう思っているだけなんですがね。

 

 さて、そうやって死と向かいあって、それでどうなるかというと、

 ぶっ飛ばされてしまう、………。

 では、どこへぶっ飛ばされるのか、過去へぶっ飛ばされるんです。

 

 ぶっ飛ばされたところで、到来ということが起ります。

 自分が死ぬんだということが、はっきりわかったために、本来の自分に戻るんです。

 自分の過去のことが、すべてわかるんです。

 

 生まれてきてからこっちいったい、今まで何をしてきたかがわかる。

 これは、その人だけの固有の過去です。そうでしょ。どんな人だって、他の人とは違う。

 自分だけのことをしてきたわけで、どんな偉い人だって、どんな駄目な人だって、

 必ず、他の誰もやっていないことを、してきてるんです。

 いいこと、馬鹿なことに限らない。その人しか、やらなかったことです。」

 

 

田代まさし

「うん、そうだよね。

 確かに俺、数奇な転落人生を歩んだようにも見えるけど、結構いいことしてきたし、

 自分にしか歩めなかった人生だ、………。」

 

桑野信義

「……………。」

 

カツ丼小僧

「僕も、54になる今の今まで、殆ど働いたことがない。

 これも珍しい人生で、もしかしたら貴重な人生なのかもしれない。

 筒井さん、ありがとう。こんな僕にも自信がつきました、………。」

 

張本勲

「喝だぁぁ~~~~~~~~~っ、」

 

ロバート・キヨサキ

「僕は投資の成功で、お金持ちになった、類(たぐい)まれなる人生、………。」

 

堀之内九一郎

「……………。ひっく。」

 

小林敬

「……………。うん、……まぁいいよ、………。

 飲食界のショーン・コネリーも、今は謙虚ライオン、………反省してます。」

 

堀之内九一郎

「ぎゃひぃぃ~~~~~んっ、泣きたいよぉ~~~~~~っ、、、。

 カネ、カネ、カネェ~~~~~~~~~ッ、

 俺のカネ、どこいったぁ~~~~~~~~っ、………ひっく、ひっく、ひっく。」

 

千昌夫

「ええ、……気持ちは、痛いほど、よくわかりますよ。

 でも、これは、私たちにしか歩めなかった貴重な人生です、………。

 素晴らしき哉、我が人生、………。 」

 

筒井康隆

「そういう意味合いで言ってるんじゃないんだけどな、………。

 まあ、いいや、………。

 

 で、それがわかったからといって、どうなるのか、………。

 現在に戻ってきます、………。自分がやってきたことを取り返すんです。

 ハイデガーは、これを現成化と言っています。

 

 まあ、本当の現在というのはないわけなんで、

 現在というのは次々と過去になってるわけなんで、それでこう言ってるんでしょうね。

 ここまで来るともう人間は、今の自分が何をすべきかわかるというんです。

 

 つまり現成化というのは、過去へ戻って、自分が何をして来たかを見て、

 現在に戻って、自分のするべきことを知るってわけで、しかもですね、

 この過程を順を追って知るんじゃない、一瞬にして知るんだと言ってるんです。

 

 そんな結構なことがあるのかどうか、

 ハイデガーが、そんないいことを体験したのかどうか。それはわかりませんがね。

 少なくともわたしはまだ、そんな結構な目には遭っておりません。

 しかしまあ、このあたりが死を魅力的に論じているってことになるんでしょうね。」

 

 

カツ丼小僧

「僕は、職場で働きもせず、部屋の中でゴロゴロして空想の世界に浸ったり、

 のんびり景色を見渡しながら、散歩していただけの半生だったので、

 もう、過去も未来も現在もありません。

 

 魂は、とうの昔に自分の体を離れて、時空を彷徨っています、………。

 魂と体が、完全に分離されていて、そういう意味では、ハイデガーの現成化を、

 忠実に実行しただけの人生だと思います。

 もちろん、いつのまにかの、勝手な脚色も多いんですが、………。

 

 それでは、ちょっと、難しい話が続いていますので、

 ちょっと、ここらで、一息入れましょう、………。吉幾三さん、………。」

 

吉幾三

「えっ、……俺、? 」

 

カツ丼小僧

「ええ、………そうです。

 前々回の初登場の時、つい歌ってもらうのを忘れてしまいました。

 すいません、是非この場で吉さんの往年のヒット曲、

 ♪『俺ら東京さ行ぐだ』(1984年)を歌って頂きたいのですが、

 よろしいでしょうか、………? 」

 

一同

「おぉ~~~~~~~~~~っ、、」

 

   パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、

 

   場内から、大きな拍手が沸き起こった、………。

 

一同

「吉さん、お願いしまぁぁ~~~~~~す。」

 

女性一同

「きゃぁぁ~~~~~~~~っ、吉さぁ~~~~~~~~んっ、、」

 

吉幾三

「ん、?ん、? そ、そうだがや、千駄ヶ谷、……? 

 お、おれ、た、たのまれるとさ、なかなか断れねぇ性格なんだっぺよ、………。

 そ、そんじゃぁ、歌ってみっぺかなっ、わははははは。」

 

河合奈保子

「吉さぁぁ~~~~~~んっ、その節は~~~~~~~っ。」

 

吉幾三

「おぉ~~~~~~っ、 か、河合奈保子ちゃんじゃなかっぺかや、

 ほんに、おひさしぶり、………頑張ってかや~~~~~っ、」

 

河合奈保子

「はぁ~~~い、頑張ってまぁ~~~~す、

 吉さんも頑張ってぇ~~~~~っ、あっはぁぁ~~~~~ん、♡♡♡。」

 

吉幾三

「えっ、? な、何をっ、……???!!! 」

 

一同

「わははははは。」

 

カツ丼小僧

「ど、どうしたんです、? 奈保子ちゃん、………

 吉さんと何か、奥深い関係でも、………? 」

 

河合奈保子

「きゃははははっ、……ち、違いますよぉ~~~~~っ、

 吉幾三さんね、……昔、私のファンクラブに入ってくれていたんですよ~~~~っ、

 私、それを知った時、びっくりしちゃって、……もう、嬉しくて嬉しくて、………。」

 

吉幾三

「何、言ってっぺや、おら、今だって、奈保子ちゃんの、

 ファンなんだべや~~~~。期待しといてよ。」

 

河合奈保子

「幾三さん、ありがと~~~~っ、

 今後も、よろしくお付き合いくださぁ~~~~~~い、」 

 

カツ丼小僧

「ああ、そうですか、………

 吉さんは、以前、河合奈保子ちゃんのファンクラブに入っていたんですかぁ、? 

 それは、それは、………。でも、それ以上の発展はなかったんですか、? 」

 

河合奈保子

「な、ないですよ~~~~。」

 

吉幾三

「あ、あるわきゃねぇだろっ、……へ、変なすつもん、すんでねぇ、ばかっ。」

 

一同

「わははははは。」

 

千昌夫

「吉さん、顔が真っ赤ですよ、………。」

 

吉幾三

「おう、そういえば、千さん、……あんたんとこの次女も、エライべっぴんじゃねぇの。

 この前、ネットでみたけど、びっくりしちゃった。鼻筋の通った、近代的な、………

 ダニエラさんっていったっけ、? 」

 

千昌夫

「いや、なぜか、この私から、あんな美しい子が、………。

 ふふふ、……きっと女房のアマンダの遺伝子を引き継いだんだろうな。

 でも、性格は俺だろう。きっと、………俺のDNA、………。」

 

吉幾三

「娘さん、借金の方は大丈夫なんだろうな、………。

 よかったら、俺が肩代わりしてやろうか、………。」

 

千昌夫

「わははははは。よ、吉さん、それは心配ないって、………。

 娘は俺なんかよりも、よっぽど、しっかりしてるって、………大丈夫、大丈夫。」

 

一同

「わははははは。」

 

カツ丼小僧

「お、お二方、積もる話を抑えきれないのは、わかりますが、

 あまり、時間もありません、………。

 吉さん、申し訳ありませんが、そろそろ、歌の準備に取り掛かってください、………。」

 

吉幾三

「うん、わかった、………。」

 

カツ丼小僧

「いや~~~、それにしても、吉幾三さんが、昔、河合奈保子ちゃんの

 ファンクラブに入っていたというのには、ちょっと驚きましたね。」

 

河合奈保子

「そう、昔、昔って、言わないでくださいよ~~~~。

 私、年寄りみたいじゃな~~~~い。」

 

カツ丼小僧

「すいません。

 ええ、……実はね、僕も若いころは、結構いろいろなアイドルの

 ファンクラブに入っていましてね、………

 この座談会に出席されている方の中では、田中陽子ちゃんのファンクラブに

 入っていました。握手会&サイン会にも行きまして、ツー・ショットの写真も

 撮らせて頂きました。陽子ちゃん、ありがとう。」

 

田中陽子

「いえいえ、こちらこそ。」

 

アレクサンダー大塚

「お、おまえ、俺の陽子をどうするつもりじゃっ。

 コブラツイスト、お見舞いしてやるぞ~~~~~っ、」

 

カツ丼小僧

「いえいえ、早合点しないでください。

 昔、ファンだったというだけの事ですから、………。」

 

一同

「わははははは。」

 

アレクサンダー大塚

「そうか、……なら、許そう。」

 

筒井康隆

「わはっ、わはっ、わはっ、」

 

榊原郁恵

「あっ、吉幾三さん、……歌う準備が出来たようですよ~~~~。

 私も当時、『ザ・トップテン』(日本テレビ)という歌番組の司会者をやって

 いましたので、この曲は懐かしいです。

 そして、今回の吉さんの歌いっぷりも楽しみにしているんですよ。

 

 それでは、吉幾三さんに歌って頂きます、………。

 

 ♪『俺ら東京さ行ぐだ』です、………どうぞ~~~~。 」

 

 

 

  ♪俺ら東京さ行ぐだ          作詞・吉幾三 作曲・吉幾三 歌・吉幾三

                      

 

 テレビも無ェ ラジオも無ェ

 

 自動車もそれほど走って無ェ

 

 ピアノも無ェ バーも無ェ

 

 巡査 毎日ぐーるぐる

 

 朝起きて 牛連れで

 

 二時間ちょっとの散歩道

 

 電話も無ェ 瓦斯も無ェ

 

 バスは一日一度来る

 

 俺らこんな村いやだ 

 

 俺らこんな村いやだ

 

 東京へ出るだ 東京へ出だなら

 

 銭コァ貯めで 東京でベコ(牛)飼うだ

 

 

 ギターも無ェ ステレオ無ェ

 

 生まれてこのかた見だごとァ無ェ

 

 喫茶も無ェ 集いも無ェ

 

 まったぐ若者ァ 俺一人

 

 婆さんと 爺さんと 

 

 数珠を握って 空拝む

 

 薬屋無ェ 映画も無ェ

 

 たまに来るのは 紙芝居

 

 俺らこんな村いやだ 

 

 俺らこんな村いやだ

 

 東京へ出るだ 東京へ出だなら

 

 銭コァ貯めで 東京で馬車引ぐだ

 

 

 ディスコも無ェ のぞきも無ェ

 

 レーザー・ディスクは何者だ?

 

 カラオケは あるけれど

 

 かける機械を見だごとァ無ェ

 

 新聞無ェ 雑誌も無ェ

 

 たまに来るのは 回覧板

 

 信号無ェ ある駅無ェ

 

 俺らの村には電気が無ェ

 

 俺らこんな村いやだ

 

 俺らこんな村いやだ

 

 東京へ出るだ 東京へ出だなら

 

 銭コァ貯めで 銀座に山買うだ

 

 

 俺らこんな村いやだ 俺らこんな村いやだ

 

 東京へ出るだ 東京へ出だなら

 

 銭コァ貯めで 東京でベコ(牛)飼うだ

 

 

 

   吉幾三が、ねじり鉢巻きと、もんぺ長靴、農作業服姿で陽気に歌い終えると、

   場内からは、大喝采の拍手が巻き起こった、………。

   吉幾三が満面の笑みでお辞儀をすると、今度は場内にウェーブが起こった。

   彼の気風のいい歌いっぷりに、皆が感動した。

 

 

カツ丼小僧

「吉さん、……どうも、どうも、

 いや~~~、感動しました、………。

 やっぱり、CDで聴くのと、生で本人に歌ってもらうのとは、段違いだ。」

 

吉幾三

「そうか、?

 ウチの村には、CDがないんで、生で聞かせるしかないんだっぺよ。」

 

カツ丼小僧

「え、? そ、そうなんですか、? 」

 

吉幾三

「わははははは。ばぁ~~~か、ウソに決まってるでねぇか。

 おめぇ、ホント、すっとぼけた顔して、正真正銘の田舎モンだっぺやな、

 家にちゃんとパソコン、置いてあんのか、ん、? 」

 

一同

「わははははは。」

 

カツ丼小僧

「え~~、それでは、残念なことに、ここで時間となりました、………。

 筒井さんには、本当に申し訳ないんですが、「死」と「ハイデガー」の講義は、

 次回に持越しということになります、………。すいません。」

 

筒井康隆

「わははははは、………。うん、いいよ。

 今日の吉幾三さんの歌は、久しぶりに聞いたけど、実に素晴らしかった。

 特に、歌詞がこんなに面白くて楽しいものだったなんて、………。

 いや~~、今日は出席して、本当に良かった、………。

 ハイデガー哲学なんて、この歌の前には、ぶっ飛んじゃうよ、………。」

 

吉幾三

「ありがとうございます、………。」

 

カツ丼小僧

「それでは、皆さん、今日は、この辺で、………。

 

 よしっ、いくぞうっ、! ! ! 」

 

一同

「えっ、………? 」

 

カツ丼小僧

「あ、……いや、……冗談です、………。

 

 さようなら~~~、ばいばぁ~~~~い。」

 

一同

「さようなら~~~、ばいばぁ~~~~い。」