部屋の中の机や椅子は、全て、端の壁際に追いやられ、ひと塊とされた。
部屋の中央には、柴門ふみが、体中を縄で締められ、横たわり、
その姿を大勢して、一同が、囲み込む格好となった、………
カツ丼小僧は、薄暗い部屋の中で、厳かに話し始めた、………
カツ丼小僧
「皆さん、………
今日も、元気よく、お集まり頂きまして、誠にありがとうございます、………
今日という日は、皆様の目が、生き生きとし、
いつになく、ランランと輝いているように見えるのは、
私の思い込みや、目の錯覚でございましょうか、………? 」
いしかわじゅん
「そんな事はないって、………。事実だろう、………。
くくくくく、………。」
一同の一部
「イヤッホーーーーーーッ、! ! !
柴門ふみの、SM謝肉祭だぁ~~~~~~~っ、! ! !
わははははは、……… 」
カツ丼小僧
「え~~~、今日の座談会には、
我が奴隷、弘兼憲史、………
及び、綾瀬はるか、鈴木京香は、出席しておりません、………
弘兼憲史は、現在、別室のSMルームで、はるか女王様と京香女王様に、
奴隷としての調教を受けているところなんです、……… 」
カツ丼小僧がここまで言うと、
「ギャァァァーーーーーーッ、」という、断末魔とも言うべき男の悲鳴が、
どこからともなく、室内に響き渡った、………
一同は、納得した、………
カツ丼小僧
「それで、………
そういう事になってくるとですね、………
昨日17人とした、人数から、3人引いて、14人となりますね、………
「14」という数字は、「崩壊、失意、労多くして、功少なし」の、大凶数です。
僕の占いの主義として、「凶数」だから、何もかもが、全て悪いという訳では
もちろんありませんが、今日この場には、やはり、「17」という数字が、
一番、似つかわしいと思いますので、……… 」
いしかわじゅん
「おいおい、………
そんな細かい数字の事なんか言われたって、俺、よく、わかんねぇんだよ、………
そんな事、どうだっていいから、柴門苛め、早いとこ始めようや、………
俺、もう、さっきっから、体がウズウズしちゃって、どうしようもねえんだよ。
この女の漫画が売れたのは、真の実力ではなくて、
たまたま、時代の風潮に乗ったからに過ぎねぇんだよ、………
今だってそうだし、これからも、きっとそう、………
俺はな、……この女に対する憎しみで、頭の中がいっぱいなんだ、………
なんで、この女の漫画が、そんなに人気があるんだよ、………
世の中、どっか、おかしいよ、……… 薄いマンガじゃねぇか、………
いやいや、もちろん、嫉妬なんかじゃねぇよ、………
公正で的確な、まんが評論をしたまでさ、………
ああ、……早いとこ、この高慢女を、俺の支配下に置いて、
トレンディー奴隷として、飼いならしてみてぇもんだ、……… 」
一同
「……………。」
岡田斗司夫
「ちょ、ちょっと、いしかわさん、………
いくらなんでも、そこまで言うのは、……… 」
カツ丼小僧
「おい、……いしかわさん、………
あんた、余計な口出し、するんじゃねぇよ、………
この部屋を取り仕切っているのは、俺なんだぜ、………
俺は、独裁者なんだ、………
この部屋の中にいる以上は、全て、俺の言う事に従ってもらおう、………
それが嫌なら、あんたがここから出て行けばいいだけの事さ、………
止めはしないよ、……… 」
いしかわじゅん
「……………。」
一同
「……………。」
カツ丼小僧
「それに、いしかわさん、………
あんたは、もっと、己というものを知るべきだ、………
他人の漫画に対しては、随分と厳しいが、
あんた、自分の漫画が、一体、どれ程のものだっていうんだよ、………
そう、あんまり、はしゃいでもらっちゃ困るよ、………
まぁ、言論の自由は、尊重するが、……… 」
いしかわじゅん
「……………。」
志茂田景樹
「うん、……大成功だ、………
金剛超人の育成効果が、このところ段々と現れ始めてきている、………
まだ、造り始めてから、3ヵ月も経っていないというのに、………
このままいくと、本当に史上最強の独裁者に、なれそうだ、………
超能力だって、もう、すぐそこまで来ている、……… 」
今井優子
「うん、………そうね、………。
でも、本人に、元々、そういう資質はあったのよ、………
少しずつ、変化していくんだわ、………
実は、私も、……… 」
志茂田景樹
「えっ、………? 」
今井優子
「最近、カーネギーホールのような、大コンサート劇場で、
自分が大勢の観客の前で、歌を歌っている夢を、よく見るの、………
いや、……夢というよりも、生々しい現実感を帯びて、
頭の中にイメージされることも多いんです、………
いずれ、それが、本当に、現実のものになりそうな予感が、……… 」
志茂田景樹
「す、……凄いっ、………
オシッコ、飛び出ちゃうっ、………
あぁっ、………本当にでちゃったぁぁ~~~~~~っ、………
現実だぁぁ~~~~~~~~~っ、 」
一同
「わははははは。きったねぇぇ~~~~~っ、」
志茂田景樹
「見ちゃイヤ~~~~よ、………かいじゃイヤ~~~~よ、……… 」
一同
「うわははははは。 うわはははははは、………
やめてぇぇ~~~~~~~っ、………うわはははははは。」
カツ丼小僧
「し、失礼しました、………
とんだハプニングが、………
え~~~、そ、それでですね、………
やはり、僕と致しましては、また「17」という人数に戻したいと思いますんで、
また今回も新しく、新規の方、3人をお招きしておりますので、
皆さん、お入りください、………
26年前のフジテレビ、テレビドラマ「東京ラブストーリー」で、
主人公、永尾完治の高校時代の同級生だった人たちで、
このドラマを、更にトレンディーに盛り上げてくれた、俳優、
三上健一役の、江口洋介さんと、
関口さとみ役の、有森也実(ありもり・なりみ)さん、………
そして、我が奴隷、柴門ふみグソとは、無二の親友であらせられる、
作家の、林真理子さんに、お越し頂きました、………
一同の皆さん、拍手を持って、お迎えください、……… 」
俳優の、江口洋介、有森也実は、戸口から
手を振って、笑顔で現れたが、作家の林真理子は、1人、
ムスッと、不機嫌そうな、青ざめた表情をしていた、………
江口洋介
「皆さん、こんにちは~~~~、
俳優の、江口洋介でぇぇ~~~~~~~す、………
今日は、柴門先生の、SM謝肉祭という事で、やって参りましたが、
もちろん、神のような存在である、柴門先生を苛めるなんてことは、
僕の場合、あり得ません、………
あくまで、数字合わせの助っ人として、やって参りました、………
よろしくぅぅ~~~~~~~~、 」
有森也実
「こんにちは~~~~、
女優の、有森也実でぇぇ~~~~~~~す、………
私も、江口さん同様、数合わせの犠牲者でぇぇ~~~~~す、
柴門先生、大好きでぇぇ~~~~~~す、………♡♡♡。
よろしくぅぅ~~~~~~~~~、 」
林真理子
「おらおらっ、………
私の長年の親友、柴門ふみを、苛めるんじゃねぇぞっ、………
ちょっと、その事で、一言、三言、言いに来たんだっ、………
おらおらっ、……… そこのけ、そこのけっ、真理子が通るっ、……… 」
そう言うと、林真理子は、人を掻き分け、部屋の中央で縄を縛られ、
全裸で横たわっている、柴門ふみの所まで、早足で駆け寄り、
ぐったりとしている彼女を、ひしと抱きかかえた、………
林真理子
「柴門先生っ、………柴門先生っ、………
大丈夫ですかっ、? しっかりしてくださいっ、………柴門先生っ、……… 」
柴門ふみ
「ああ、……真理子さん、………き、来て下さったんですか、………?
あ、ありがとう、………私の、一世一代の晴れ姿を、………
今日は、存分に楽しんでいってくださいな、……… 」
林真理子
「い、……いや、SM謝肉祭だか、なんだか知らないけどさ、………
あなた、本当に自分の意志で、やるんだよね、………?
それで、いいの、………? 」
柴門ふみ
「ええ、……もちろんです、………
真理子さん、……私、カツ丼小僧さんに、大いに感化されちゃいましてね、………
一度、SMのマゾ奴隷を経験してみようという気に、なったんですよ、………
もしかしたら、新たな発見があって、今後の作品の中にも役立てる事が
出来るんじゃないかと思って、……… 」
林真理子
「う~~~ん、………
そうかなぁ、………SMの経験なんて、役に立つのかなぁ、………
あんたの作品は、爽やかさが、売りだと思うんだけど、……… 」
柴門ふみ
「真理子、……… 」
林真理子
「うん、………? 」
柴門ふみ
「いい、……? いつもの奴、……… 」
林真理子
「え、……? あ、……
う、うん、………いいわよ、………来て、……… 」
2人は、暫くの間、お互いを見つめ合うと、目を閉じ、
顔を近づけ、抱擁しあいながら、深い口づけをした、………
2人の大物作家のキスシーンに、一同は、驚きを隠せず、どよめいた、………
2人の間に、このような秘密があったとは、………
マスコミが知ったら、さぞや大喜びで、スクープ記事にする事だろう、………
キスは、お互いの唇を呑み込んでしまうのではないかと
思えるほど、濃密、濃厚で、それが、およそ1分もの間、続いた、………
2人は、やっと、唇を離した、………
美しくも、艶めいた、涎の糸を、2本、3本と引きながら、………
2人は、再度、また見つめ合った、………
柴門ふみ
「真理子、……… 」
林真理子
「うん、………? 」
柴門ふみ
「ごめんね、………心配かけちゃって、……… 」
林真理子
「ううん、………いいの、………
でも、柴門先生が、本気でSMを、経験してみたいというのなら、
私なんかが、とやかく、口出しするもんじゃないわ、………
辛いことも、いっぱいあるでしょうけど、
どうせやるなら、とことん、やってみるといいわ、………
女の、意地の挑戦よ、……… 頑張って、……… 」
柴門ふみ
「うん、……… 」
そういうと、2人は、また見つめ合い、抱き合いながら、
深い口づけをした、………
どうやら2人は、かなり昔からの、正真正銘のレズ友だったらしい、………
一同は、また2人の動作に、釘づけとなり、ジッと見入っていたが、
カツ丼小僧だけは、内心、舌打ちした、………
カツ丼小僧
「皆さん、………
本当に、あいすみませんが、今日は、ここで時間となりました、………
この続きは、また次回という事になります、………
再三再四、すいませんの、すいませんの、すいませんの、すいません、……… 」
一同
「えぇ~~~~~~~~~~~っ、???!!!
またぁ~~~~~~~~~~っ、???
まだ、何も、やってなぁぁ~~~~~~~~いっ、
昨日も、そうでしたよ~~~~~~~っ、 」
カツ丼小僧
「だって、しょうがないでしょう、………時間なんだから、……… 」
いしかわじゅん
「ほれみろっ、………
だから、俺が急げと言ったんだ、………
俺の批評、分析は、今まで、1度だって外れた事がないんだっ、………
わかったかっ、……この、ボケッ、カスッ、……… 」
カツ丼小僧
「へいへい、………
すいません、すいません、………いしかわ、さまさまっ、………
あんたが、偉いっ、……あんたが、大将っ、……あんたが、巨根っ、……… 」
いしかわじゅん
「うんうん、………
よ~~く、わかってるじゃないか、………
そんなに、よくわかっているならば、それでいいんだ、………
君は、ついに、人間国宝を超えたね、………
偉い、偉い、………いい子、いい子、……… 」
一同
「わははははは。」
カツ丼小僧
「それでは、今回は、ここでお別れです、………
サヨーナラの、バッハッハ~~~~~イ、………
アイ~~~ン、………ゲッツ、……… 」
一同
「アイ~~~ン、………ゲッツ、……… 」
カツ丼小僧と一同は、全員、「ゲッツ」のポーズを取りながら、
後ずさりして、部屋から、一人ずつ、順番に出て行った、………