カツ丼小僧
「いやいや、………
昨日はどうもすいません、………つい、取り乱しまして、………
鬱積したマグマが、一気に飛び出したって感じです、……… お恥ずかしい、……… 」
柴門ふみ
「いえいえ、………
私たちの方こそ、あなたという人を、よく理解しないまま、
ここに来てしまったのは、ちょっと失礼だったのかな、………
………と、反省しております、………
女体に餓えた、超変態小僧だという事がはっきりとわかりましたわ、………
おほほほほほ、……… 」
田原俊彦
「あはははははっ、………僕と同じっ、………
あ、……僕は、変態じゃないけどねっ、………
もっと、爽やか、……… 一緒にしないでっ、……… 」
一同
「わははははは。」
弘兼憲史
「あ、……田原さん、……お久しぶりです、………
僕の原作で、1992年(平成4年)公開の映画「課長 島耕作」では、
主演を務めて頂きまして、ありがとうございます、………
あの役はね、田原さん以外には、絶対にあり得ませんよ、………
ね、……そうでしょう、………? わははははは。」
田原俊彦
「おい、お前、………
そんな、つまらんお世辞など、言わんでいいよ、……… 」
弘兼憲史
「え、? えぇ~~~~~っ、??? 」
田原俊彦
「あはははははっ、………
弘兼先生っ、……ジョークですよ、……ジョーク、………
いやだなぁ、………僕は、「課長」島耕作なんですよ、……… 」
弘兼憲史
「ん、……? ああ、そうか、そうか、………
そうだったな、………わははははは、………
リアクションがちょっと鈍かったかな、………?
でも、それだけ偉そうな口の利き方なら、
「課長」島耕作、というよりも、むしろ、「社長」島耕作の方だな、………。
わははははは、………。」
田原俊彦
「ふん、……そんな事は、お前になど言われなくともわかっているよ、………
なんせ俺は、超・ビッグな男だからな、……… 」
弘兼憲史
「えぇっ、………? 」
田原俊彦
「あはははははっ、………
いやだなぁ、……先生っ、……… まだわからないんですか、?
ジョークですよ、ジョーク、………
今度は、「社長」島耕作を演じてみたんです、……… 」
弘兼憲史
「……………。」
柴門ふみ
「あなた、………
ここにいる人たち、なんか雰囲気が、ちょっとおかしいわよ、……… 」
カツ丼小僧
「ところで、柴門さん、………僕は、どういう訳か、
高学歴の楚々とした、年上の才女に、とっても弱いんですよ、………
あなたは、僕にとっては、もう「聖域」とも言える、
お茶の水女子大学を出ていらっしゃる、………
外観も、性格も、全体の雰囲気も、みんな僕好みだ、………
本当に、あなたのような女をみていると、僕の男としての征服欲が、
ムクムクと頭をもたげてくる、………
どうです、………僕の下で、僕に絶対服従の忠誠を誓い、
肉女中となって、素っ裸で、こき使われてみませんか、………?
今までの経歴やプライドも、かなぐり捨てて、………
ケツの穴まで、晒して、……… 」
柴門ふみ
「んまままままま~~~~~~~~~~~っ、っ、っ、
あ、あ、あ、あなた、………
じ、じ、じ、自分が何をいってるのか、り、り、り、理解しているんですか、?
ど、ど、ど、どこか、あ、あ、頭がおかしいんじゃないですか、?
け、け、け、警察を呼びますっ、……… け、け、け、警察ですっ、……… 」
弘兼憲史
「まぁ、ふみ、………
この男の精神や頭の中が尋常ではないのは、わかるけど、
警察沙汰はないだろう、………もう少し、冷静になろう、………
ここに来たのは、こっちの方からなんだし、……… 」
柴門ふみ
「で、でも、なんで、こんなところに、
皇太子妃の雅子様がおられるんです、………?
やはり、この男の皇室苛めの噂は、本当だったんですね、………
それに昨日から、なにか雅子様の言動が、おかしいじゃありませんか、………?
これじゃぁ、皇太子妃どころか、ただの変態女です、………
嘆かわしい、………地に堕ちたのか、………皇室ブランド、………。
そ、それに、先程から感じているんですが、この部屋全体が、何か、
異様な雰囲気に包まれているような気がしますけど、……… 」
カツ丼小僧
「結局、柴門さん、………
あなたは、ここに何を言いに来たんですか、………、?
場合によっては、夫婦で奴隷契約書にサインをして貰う事になりますよ、……… 」
柴門ふみ・弘兼憲史
「えぇ~~~~~~~~~~~っ、???!!! 」
皇太子妃・雅子様
「私は、もう既にサインしましたぁぁ~~~~~~~~っ、
言わずもがな、………カツ丼さまの奴隷で~~~~~~っす。うふふっ、♡♡♡。」
柴門ふみ・弘兼憲史
「……………。」
カツ丼小僧
「柴門さん、………
あなたが、皇室を敬う気持ちはわかります、………
我々の世代あたりまでは、皆、そのような教育を、………
今回は、その事で、僕に苦言を呈しに来たんでしょう、………
でも、本当は、僕だって、皇室が好きで好きで、たまらないんです。
むしろ、あなた以上に、皇室を愛しています、………
皇室を、……… 雅子様を、……… 彼女は日本の至宝です、………。」
柴門ふみ
「……………。」
田原俊彦
「うむうむ、それは、とっても素晴らしい事ではないかな、………
よしよし、次回のボーナスは、大いに弾もう、………
うおっほん、ほんっ、……… わははははは、……… 」
弘兼憲史
「……………。」
カツ丼小僧
「つまりは、表現の仕方の問題なんです、………
わかり易く言うと、………う~~~ん、………なんて言えばいいのかなぁ、………
そうだ、……若い頃を思い出してみてください、………
まぁ、柴門さんみたいに、女性で真っ直ぐな性格の人にはよくわからない感覚かも
しれませんが、女の子だって、好きになればなるほど、苛めたくなるっていうのが、
あるじゃないですか、………
愛するが故に、……… 恋するが故に、………
彼女の何から何までを、全て、余すところなく、
自分のものにしたくなる、………その隅々までをも、………
人に見られたくない、最も、汚い部分までをも、………
肛門や、ウ○コ、……… 鼻くそ、鼻水、鼻毛までをも、………
ガラスケースの中に、大切にコレクションして、
自分の部屋に飾って置きたい、……… 」
柴門ふみ
「……………。
あなた、……さっきから、一体、何をいってるんです、………?
聞いていて、頭がおかしくなりそうですわ、………
私の住んでいる世界は、「同級生」や「あすなろ白書」のような、
爽やかで、健全な世界ですっ、………
鼻くそ、鼻水、鼻毛ですって、………汚ならしいっ、……… 」
カツ丼小僧
「鼻くそ、鼻水、鼻毛を、バカにしては、なりません、………
だって、そうでしょう、………?
もし、恋愛の最中に、ふと、男の顔を見上げたら、その男の鼻の穴から、
何本もの、ブッとい鼻毛が飛び出ているのが見えたら、どうなんです、?
百年の恋も、一遍に冷めてしまう事だってあるじゃないですか、………?
相手に対する恋愛観も変ってきます、………
鼻くそ、鼻水、鼻毛は、僕にとっては、とても重要です、………
あなたの漫画には、そんなことは、1コマも描かれていませんが、
僕にとっては、大きな恋愛のテーマなんです、………
綺麗なところばかり見ていては、内容が薄い物になってしまいます。
ぐずっ、ぐずっ、………ああ、すいません、………
このところ、花粉症がひどくて、しきりに鼻水がでる、……… 」
柴門ふみ
「……………。」
弘兼憲史
「ふみ、………
やはり、こんな所へ来るんじゃなかった、………
もう、帰ろう、………あまりに馬鹿げている、……… 」
2人が、帰ろうとして、扉の方に向かおうとしたとき、
後ろから、カツ丼小僧の大きな怒声が飛んだ、………
カツ丼小僧
「カ~~~~ツッ、………喝、喝、かぁぁ~~~~~~~~つ、…………
お、俺の話を、ちゃんと最後まで聞いていけぇぇ~~~~~~っ、
俺の話が終わるまで、今日は、ここから出るなぁぁ~~~~~~~~っ、
絶対に、帰さんぞ~~~~~~~~~~っ、
かつ、かぁぁ~~~~~~~~~っつっ、……… 」
2人は、やむをえず、夜遅くまで、
カツ丼小僧の説教を聞くハメになった、………
説教が終わって、帰る時、
島耕作役の田原俊彦から、2人に残業手当が、手渡された、………