カツ丼小僧
「雅子様の愛の滋養電波を受け、体がホカホカと温まりました、………
史上最強の皇室エネルギーです、………これ以上の元気の源はありません、……… 」
今井優子
「うわぁ~~~~~~、すごぉ~~~~~~~い、」
志茂田景樹
「でも、超人、………
我々、若返りのクスリを発明して、世界人類に若返ってもらうために、
このような、途方もない実験、研究を繰り返している訳なんですが、
発明されて発表しても、「人道的な問題」として、
大衆から反発を招く恐れもありますよ、……… 」
今井優子
「ええ、……私もそれを考えていました、………。」
カツ丼小僧
「うん、………
確かに、そういう反発というのは、大いにあると思うよ、………
でもね、………なんだってそうだけど、そういうのは、最初だけなんだ、………
世界のニーズに適合したものであれば、最終的には受け入れられる、………
そして、それが当たり前のようになる、………
「美容整形」だってそうじゃないか、………
僕が子供の頃の時代だったら、整形手術をしているなんていったら、他人から
いささか奇異の目で見られていた、………失敗も多かったと思う、………
「刺青」にしてもしかり、……… でも、段々と慣れてくれば、……… 」
志茂田景樹
「いやぁ~~~、刺青はちょっとねぇ、………
僕の世代からみたら、いくらも抵抗ありますがね、……… 」
デヴィ夫人
「ほほほほほほ、………刺青ですか、………
そりゃぁねぇ、………志茂田さん、………我々の世代にとっては、
体に彫り物なんて、一部のヤクザや極道者のやることでしたからねぇ、………
ゾッとしますでしょうねぇ、……… 」
志茂田景樹・今井優子・カツ丼小僧
「あっ、……… 」
3人が驚いたのも無理はない、………
声のした方に3人が振り向くと、隠し部屋の戸の前に、デヴィ夫人が
腕組みをして、不敵な笑みを浮かべながら立っていたからだ、………
カツ丼小僧ら3人は顔に驚愕の色を浮かべた、………
カツ丼小僧
「デヴィ夫人、………ど、どうして、ここへ、………? 」
デヴィ夫人
「どうもこうもありません、………
やっと探し当てましたわ、………
座談会では、あなた方3人がいつも一緒にいなくなってしまうので、
みんな不思議に思っていますのよ、………
こんな所に3人寄り集まって、一体何をやっているんです、………?
さぁ、白状なさいな、………あながち、3PやSMプレイではないようですが、……… 」
カツ丼小僧
「やっぱりそうだ、………
3人の時は、快適に進んでいたこの空間も、1人増えて4人になると、
とたんに陰湿で険悪な雰囲気になる、………
これも数のなせる業なんだ、………「3」と「4」の違い、………
まぁ、こういう雰囲気も悪くはない、………
個人的には好きなんだけど、………今は実験の最中だ、………
物事を少しでも快適に進めていかなくてはならない、……… 」
カツ丼小僧は、モゴモゴと呟くと、デヴィ夫人に向かって言った
カツ丼小僧
「デヴィ夫人、………
誠に申し訳ないんですが、今、我々は、世界人類の平和や喜びに貢献すべく、
偉大なる実験をおこなっている最中なんです、………
細かな事情は、今は話せませんが、あとで明らかになります、………
今すぐに、この部屋から退出してください、………
そして、この部屋の事は、誰にも口外してはなりません、……… 」
志茂田景樹・今井優子
「お願いします、……… 」
デヴィ夫人
「ほほほほほ、………そうですか、………?
偉大なる実験、………? 何のことだか、私にはよくわかりませんが、………?
まぁ、そこまでおっしゃるのなら、黙って出て行きます、………
大丈夫です、………私、こう見えても、結構、口は堅いんですのよ、………
この隠れ部屋のことは、誰にも喋りませんから、安心なさい、……… 」
デヴィ夫人はそう言うと、高らかな笑い声を上げて、部屋を出て行った
3人は呆気にとられて、デヴィ夫人の後姿を見守っていた、………
志茂田景樹・今井優子・カツ丼小僧
「…………………………………………………… 」
志茂田景樹
「うわぁ~~~~~~ぁ、一体何だったんでしょうね、今の、………? 」
今井優子
「悪い夢ですよ、悪い夢、………。悪い夢を見たんです、………。」
カツ丼小僧
「とにかく、この隠し部屋の秘密がばれてしまった以上、先を急がねば、………
いずれ、座談会の連中が、ここへ押し寄せてくる可能性だってある、……… 」
志茂田景樹
「え~~~、おっほん、………
それでは、仕切り直して説明しますと、………
前回は、雅子様の「雅の箱」の中に、金剛超人が入って、
限りなき、愛の放射線治療を受けまして、超エネルギーを授かりました。」
今井優子
「それで今日は、………? 」
カツ丼小僧
「うん、………
どうやら、金剛超人は、この「雅の箱」が大層気に入ってしまったらしくてね、………
この箱の中に入って、恍惚の表情を浮かべたまま出て来ない、………
いや、正確には、でて来れない、と言った方が正しいのかもしれない、……… 」
今井優子
「雅子様の愛の呪縛にかかっているのね、きっと、……… 」
カツ丼小僧
「ええ、………そうだと思います、………
僕自身の体も、すこぶる気持ちよくなってきているんですから、……… 」
志茂田景樹
「「健康体」大地や、「若三杉」、「高塚光」といった、
キーワードの効き目もあるかもね、……… 」
カツ丼小僧
「ええ、……これはもう、……絶大です、……… 」
今井優子
「もう、縁起のいい、エネルギーの良好な文字の羅列で、
自分の頭の中を埋め尽くしていくのみですね、………それに徹しましょう、……… 」
カツ丼小僧
「今日は、雅の箱の中に入ってる金剛超人に、更なる文字を注入します、………
金剛超人の頭上には、白い文字で「至上の大幸福」の文字が
小さく描かれていましたが、今、その文字が
ライトピンク色やオレンジ色に点滅しています、………
うん、……自分の意志とは関係なしに、勝手に変化していっている、………
これは凄い、……… 」
志茂田景樹
「ここに超人の作った単語カードがありますので、
それを、片っ端に読み上げます、………
「大勲章」、「大栄誉」、「大殊勲」、「大躍進」、「大勝利」、………
「大出世」、「大富豪」、「大祝福」、「大喜悦」、「大喝采」、………
え~~~と、それから、………
「七福神」、「福禄寿」、「弁財天」、………
「幸運児」、「大幸運児」、「史上最強の幸運児」、………
「日本を呑む」、「世界を呑む」、「地球を呑む」、「宇宙を呑む」、………
「超美女征服」、「世界ブランド征服」、「世界大金融機関征服」、………
今井優子
「凄い、………
多幸感を持った、スケールの大きい文字列の嵐だわ、………
この勢いに吸い込まれそう、……… 」
志茂田景樹
「ふふふ、………
金満家のデヴィ夫人だって、この豪勢な文字の羅列を聞いたら、
きっと、腰を抜かすに違いない、……… 」
カツ丼小僧
「今、雅の箱の中で身悶えている金剛超人の頭に、少し離れた位置から
この文字玉を、ライフル銃で、ズドン、ズドンと撃ち放って注入しています、………
おっほっほ~~~~い、………
玉が脳に命中するたびに、金剛超人が、喜びに打ち震えて、身悶えている、………
もう永久に、この射撃ゲームを続けていたいくらいだ、……… 」
今井優子
「どうですかね、………?
そんなに気持ちがいいのなら、しばらくこのままにして、休みますか、………? 」
カツ丼小僧
「いやいや、………
気持ちがいいのは、金剛超人の方であって、僕ではありません、………
金剛超人の方は、そのままにしておいて、先を続けます、………
空を飛びたい、……… 」
志茂田景樹
「えっ、………? 」
今井優子
「そう言えば、以前の欲望を羅列した紙の中に、
スーパーマンのように空を飛びたいって、……… 」
カツ丼小僧
「そうなんだ、………
「透明人間」だとか「テレポーテーション」とか、他の超能力もそうだけど、
空を飛びたい、というのも、僕の大きな夢の一つなんだ、………
この夢だけは叶えなければ、死んでも死にきれない、……… 」
カツ丼小僧は、そう言って、天井を見ると、目をつむって、
広大無辺なる青空に、「空中大飛行」、「超能力の空中大遊泳」、
「マッハ・スピード・空中旋回」、………といった文字を刻みつけていった、………