カツ丼小僧と有名人のドスケベ座談会 434

カツ丼小僧

「え~~~、

 我々は、この隠し部屋で「若返りのクスリ」を開発しようとしている訳ですが、

 それを、化学や医学によるものではなく、まじないや占いのような、

 いわば、掴みどころのない原始的な手法で、行おうとしている訳であります、………

 

 占いというものが、我が国において、これだけ注目され始めてきたのは、

 平成時代に入ってから、………つい、最近のことであります、………

 

 明治維新から始まり、大正、昭和と、近代高度科学文明が発展していくにつれ、

 占いなどというものは、西洋占星術以外は、物の怪やインチキ魔術の類として、

 世上の片隅に追いやられ、軽んじられ、蔑視されることになりました、………

 

 然るに、日本の歴史を紐といてみますと、

 太古には、祈祷が政治の中心であったというような記録もありますし、

 今では、見事見事のデリシャス復活を遂げた、我が秘法「宿曜占星術」も、

 戦国時代の武将たちの間などでは、当たり前のようにして存在し、

 当時の武将たちは、絶対に自分の生年月日を他者に明かさず、

 その秘法術を軸として、戦略を練っていたというのだから驚きです、……… 

 

 このような事を考えますと、

 また再度、今日、新たなる占い時代の到来が来て、

 それが近代文明とうまく、ドッキングすることによって、

 著しいまでの、占いの変革を期待することも出来るのであります、………。

 

 つまり、いよいよもって、

 我らの腕の見せ所、………占いの実践、処方の時が来た、という訳です。

 

 今こそは、占いの力というものを天下にとどろかせ、大衆の度肝を抜く程にまで、

 思い知らせてやる事の出来る、絶好のチャンスなのです、………。

 

 今こそは、さんざん虐げられてきた、日陰者の思いを、………虫ケラの思いを、………

 

 今こそは、………  今こそは、……… うんむむむっ、………  」

 

 

   カツ丼小僧は、今井優子、志茂田景樹の2人の前で、

   長い事、演説をぶっていたが、

   ここまで言うと、感極まって、目頭が熱くなり、言葉が詰まってしまった。

   

   顔は紅潮し、口元は歪んで、目からは大量の涙が溢れ出ていた、………

   今井優子と志茂田景樹は、彼を大層、不憫に思い、

   2人顔を見合わせると、手の平を叩いて、同調の拍手を送った

 

 

カツ丼小僧

「うんうん、………ありがとう、……ありがとう、……… 

 優子ちゃんも、志茂田博士も、………俺、本当に嬉しいよ、………

 

 長年、熱心に占いをやってきた甲斐があったというもんだ、………

 これからは、やっと大手を振って街中を歩ける、………

 表大通りを歩くことが出来るんだ、……… うっ、うっ、うっ、………

 

 今までは、占いなんて言うと、他人にバカにされそうで、

 こっそりと隠れてやってきたんだけど、やっと陽の目を見る時代がやって来て、

 これで、おおっぴらに、堂々と公言・発表できる、………

 

 俺の発明品は、みんな、お前らが馬鹿にして見下した、

 「占い」によるものなんだぞ~~~~~~~~って、ね、……… 

 わはははははは、……の、わは、……… 」

 

 

   カツ丼小僧は、得意げになって、吠えた、………。

   今井優子と志茂田景樹は、呆れて顔を見合わせ、ため息をついた。

 

 

今井優子

「でも、史上最強の超人、………

 申し訳ないんですけど、それを言うには、まだ早過ぎますよ、……… 」

 

志茂田景樹

「そうそう、………世界の支配者、………

 まだ、我々は、何一つとして、発明品をこしらえちゃいない、………

 どうも、世紀の革命児は、空想の方が勝手に先走りしちゃって、……… 」

 

カツ丼小僧

「そうなんですよ、………

 空想の方が先走りしている、………その通りです、大博士、………

 僕は、史上最強の大空想家なんです、………。

 

 そして、空想の方が、行動よりも先だと言う事も知っている、………

 もう、僕の想念によって、既に発明品は出来上がっているんです、………

 あとは、時が来るのを待つだけです、………

 

 その「時」が来るのは、いつなのかは、わからない、………

 神がうまく、タイミングを見計らっているのです、………

 絶妙のタイミングで、世紀の発明品は、完成されるでしょう、……… 」

 

 

今井優子

「「若返りのクスリ」というからには、それを構成するための

 若々しい成分が必要でしょう、………

 その成分の素となるものは、何処にあるんですか、………?

 やはり、占いの星の中から、……… 」

 

カツ丼小僧

「そうだね、………

 成分は、若さの星の中に隠れている筈だ、………

 まずは、それを探し当てよう、………

 

 ●青竜星(せいりゅうせい)、………

 

  「竜」「章」「端」などにある、「たつ(たつへん)」、………

 

  「等」「節」「範」などにある、「たけかんむり」、………

 

  「靖」「静」などにある、「あお」、………

 

  ………などがそうなんですが、青竜星は「富栄・活動」を司ります、……… 」

 

志茂田景樹

「うん、………

 「立」に「竹」に「青」か、………

 確かに、何か、とっても若々しくて、新鮮な感じのする字体だね、………

 竹下景子さんに話したら、泣いて喜ぶかも、……… 」

 

カツ丼小僧

「例えば、「彰」という文字があれば、………

 

 それは、「立」の青竜星と、「日」の帝旺星、「十」の傷官星、

 そして、右側の「さんづくり」は、天刑星3つで形成されている事になる、………。

 

 「立」は5画で、土の陽の成分、……… 

 

 「日」は4画で、火の陰の成分、………

 

 「十」は2画で、木の陰の成分、………

 

 「さんづくり」は3画で、火の陽の成分、……… 

 

  ………となる、………。 」

 

今井優子

「「十」は、この場合、10画にはならないんですね、……… 」

 

カツ丼小僧

「そう、………

 本来「十」は、10画として数えるんだけど、

 この場合は「彰」という文字の一部だからね、……… 2画とします。

 

 それで、部分同士の繋がりを見てみると、………

 

 「立」と「日」は、「土」と「火」で、順応の配置、………

 

 「日」と「十」は、「火」と「木」で、これも順応している、………

 

 そして右側の「さんづくり」だけど、3画の火の陽で、

 これも、左側の3つの部首と、うまいぐあいに順応している、………

 

 最後の総仕上げは、「彰」の総画数で、14画、………

 

 14という数字は、本来は、辛苦困難を暗示する不幸数なのですが、

 この場合は、1の位が「火」ですから、これも、中の4つの部首を

 更に活性化させ、効力を引き出すものとなります、………

 

 う~~~ん、………素晴らしい、………

 

 この文字は、もらっておこう、………きっと、あとで役に立つ、……… 」

 

 

志茂田景樹

「もらっておく、………

 ええ、……よくわかりますよ、………実に、よくわかります、………

 私も、あなたと同じ、超天才頭脳の持ち主ですから、………

 面白いくらいに簡単に理解し得ます、……… 

 

 つまりは、その文字は、これから作る我々の発明品の中の、

 一つの部品となり、歯車となる可能性が大いにあるという事で、

 大事に保管しておく、という事なんだろう、……… 

 

 今後、そういった出来のいい、性能のいい文字を、たくさん見つけ出し、

 立体クロスワードパズルのように、うまくつなぎ合わせていくという事なんだね。

 

 そして、その過程の中で、幾らかの発明品が生まれる事もあるし、

 億単位の組み合わせでも、何も生まれない事もある、………

 ただ、しつこく、根気よく続けていけば、いずれは、……… 」

 

カツ丼小僧

「そうです、………

 まったく、その通りですよ、………大博士、………

 あなたは、僕の代弁者だ、………

 僕が何も言わなくても、全てをお見通しだ、………敬服します、…… 」

 

志茂田景樹

「いえいえ、………わはははは。

 もっと、いっぱい、おだててください、………

 脳みそが喜んで、どんどん活性化します、………。」

 

今井優子

「「音」だとか「色」については、どうするの、? 」

 

カツ丼小僧

「うん、………

 それも、もう暫くしたら、やるつもりだ、………

 音については、今度のみんなとの座談会の時に、基礎となる講義をするつもりだから、

 全ては、そのあとです、……… 」

 

志茂田景樹

「それでは、今日はもう疲れたから、これでお終いということにして、………

 さて、これから、どうでしょう、………?

 3人で、近くのバーに入って、ぐっと一息、入れましょうや、………

 ね、……そうしましょうよ、………世間話でもしながら、……… 」

 

カツ丼小僧

「さすが、超人博士、……… なんでもわかっていらっしゃる、……… 」