高塚光
「つまり、………
人間の行動が、神の意志によって、支配されているというのなら、
当然、その行動を動かしている頭脳まで、神に支配されているという事になる。
自分が、これを美しい、だとか、嫌いだとか、あの人の傍にいたい、………
という感情までもが、実は自分のものではなく、
神の創造であったということか、………
しかし、こんな摂理を、突然説かれたところで、
一体、誰が実感として理解できるだろうか、………? 」
小池栄子
「うん、……… 」
高島礼子
「それなら、私が、松平健さんに好意を抱き、尊敬しているのも、
実は私の、自分の感情ではなく、神の創造だというのね、………
それじゃぁ、なんなのよ、………
私たちは、ただの、神の操り人形ってことになるじゃないの、………
自分の意志や感情が、実は自分のものじゃないなんて、………
そんな事、考えたくもないわ、……… 」
志茂田景樹
「うん、……わかる、………。君の気持ち、………。
松平さんを、愛していたんだね、………
ラブリー、フォーエバー、……… 」
松平健
「……………。」
カツ丼小僧
「高島さん…… シラケさせちゃってすいません、………
……… でも、真実なんです、………
高島さんの心を、今すぐにでも、松平さんを、吐き気を催すほど嫌いにし、
僕の事を、オマ○コを広げたくなる程、好きにすることは、
神にとっては、たやすいことなんです、………
でも、よく考えてみると、自分の体にしても、行動にしても、
全てが決まっている訳ですから、心と体を切り離して考えることも出来ない、………
そこに、何か普遍的な一つの統一性、法則といったものがあるんです。
自分そのもの、全てが神の一部だと理解した方がいいのではないでしょうか、? 」
高島礼子
「……………。」
やくみつる
「ところで、カツ丼小僧さんは、一体、いつ頃から、
そのような、とほうもなく深遠な思想を持つようになったんですか、………?
偉いなぁ、………。
これじゃぁ、あなたの事を、ワイドショーで批判したり、
漫画で茶化して、コケにすることも出来ない、………。
プロボクシングの亀田三兄弟なんかとは、偉い違いだ、……… 」
ガッツ石松
「おい、……やくさん、…… それを言うなって、………
また、オヤジから、イチャモンつけられるぞ、………。」
一同
「わははははは。」
カツ丼小僧
「ええ、……
僕がこのような考えを抱くようになったのは、ちょうど大学受験に失敗した、
20歳ぐらいの時からです、………。
筒井康隆さんの、七瀬三部作の一つ、「エディプスの恋人」という
小説にも、影響されています、………
まぁ、ちょうど、SM にも興味を持って、白金のオンボロ下宿アパートで、
SM 小説を、貪り読んでいた時代でもあったんですがね、……… 」
やくみつる
「哲学者のような神秘思想と、SM が、両立するんですか、………
偉いなぁ、……… さすが、カツ丼さんだ、………
これじゃぁ、ますます、ワイドショーで批判も出来ない、……… 」
カツ丼小僧
「僕の頭の中は、哲学と SM が、ごちゃ混ぜになっているんですよ。」
一同
「わははははは。」
小嶋陽菜
「そんなことって、あるの~~~、? 」
マツコ・デラックス
「あり得ないわよ、………いやだわ、………。」
カツ丼小僧
「最初の頃は、自分の感情や意志が、実は自分のものではなく、
この世の管理者である、神のものなんだ、と知った時、
その驚愕と戦慄と孤独は、恐るべきもので、
自分としては、即座には受け入れがたいものでした、………。
そして、更に進んで、感情や意志だけではなく、自分の行動、………
いや、自分の体や、この世に存在している万物、全てが神の創造で動かされている
と知った時は、何か心臓が締め付けられるような、胸苦しい気分になって、
外に飛び出して、大空に向かって、「ワァァ~~~~~~~~~~ッ、」と、
叫び出したくなりました、………
そういう事だったら、今、自分が存在している、この世界というものは、
現実ではなく、虚構ということになってしまい、自己というものすら、
完全に崩壊してしまう、……… 」
松坂慶子
「そう言う事なら、本当に孤独だったと思います、………。
でも、それは、カツ丼さんの、ひとりよがりな妄想では、ないんですか、………?
カツ丼さんは、本当に思い込みの激しい方ですから、……… 」
市川海老蔵
「あんたね、………若い内から、ブラブラして、定職にも就かず、
時間を無為に、過しているから、そういうつまらない考えに、
憑りつかれるようになるんだよ、………
俺なんか、忙し過ぎて、そんなこと考えている時間なんかないよ、………。」
カツ丼小僧
「ええ、……僕もそう思います、………。
本音を言えば、僕も海老蔵さんみたいに、若い内から、第一線で、
バリバリ仕事をして、仲間と人付き合いなどもして、
周囲から、大いに注目されるスター人生を、歩みたかったんです、………
僕は確かに、若い内から仕事もしないで、親の金で遊んでばかりいました、…………
途中からは、人と一緒にいるよりも、1人でいる方が、
よっぽど、気楽で呑気だ、などとも思うようにもなりましたが、………
まだ、若かったからなんだと思います。
でも誰が、若い内から、
そんな風に無為に遊んでばかりいたいなんて、考えますか、………?
普通に考えれば、そんなことを望んでいる人間なんて、誰もいないと思いますよ。
もう、その時の状況で、どうしようもなかったんです、………
実際は、仕事が欲しくて欲しくて仕方がなかった、………
こんなんじゃ、人とまともに、顔を合わす事すら出来ない、………
会話も出来ない、………
という事で、顔は青白く、表情はなく、能面のように
固まって、のっぺりとしてしまいました、………
もう、顔の筋肉すら、容易に動かない、………
競馬や競艇に行って、1人遊んでいる時も、心の中はもう空しくて空しくて、
しょうがなかったんですよ、………
逆に言えば、何もすることがなかったので、空虚な心を満たすために、
いやいや無理をしてでも、遊んでいたともいえるんです、……… 」
徳光和夫
「職に就かなかったという、その理由がわからない、………。
私だって、一生、競艇場で遊んでいたいですよ、………。
私の夢は、競艇の、レース予想屋になることなんです、………。」
カツ丼小僧
「漫画家として、生計を立てることしか、考えていなかったんです、………
それはもう、異常な程に頑なでした、………
「漫画家だっ、漫画家だっ、………
何がなんでも、漫画家だっ、」ていう感じでね、………
頭の中は、ガッチガチに凝り固まっていたんです、………。
それ以外の職など、考えも及ばなかった、………。」
つのだじろう
「僕の漫画、「その他くん」の影響だよ、………
僕も、若い内はそうだった、………硬直で生真面目を絵に描いたような人間だった。
まぁ、僕の場合は、運よく、すぐに漫画家になれたんだけどもね、………
いや、運よく、というよりも、才能があったんだよね、……… 」
カツ丼小僧
「少年雑誌の漫画家なんて、あれ程、才能や体力が必要とされる職業に、
こんな、バカで貧弱な人間が、本気でしがみついて、なろうとしていたんだから、
もう、無謀としかいいようがないんですよ、………
「井の中の蛙、大海を知らず、」です、………
まさしく、「その他くん」の主人公、君輪園太(きみは・そのた)そのものです。」
つのだじろう
「君は、……その他くんっ、……… 」
一同
「わははははは。」
カツ丼小僧
「ええ、……でも、若い時は、否定的な考えは、一切していませんでした、………
そのまま 32 歳まで、出版社に漫画の原稿の持ち込みを続けていたんです、………。
殆ど、採用もされぬまま、12 年間ぐらい、……… 」
一同
「えぇ~~~~~~~~~~~~っ、 ???!!! 」
カツ丼小僧
「前にも話したような気もしますが、
その後も、エロイラストが投稿雑誌に採用されるまで、
7年間は、ペンを握っていませんでした、………
のらくらして、遊んでいてばかり、………
平和島や江戸川の競艇場に通いだしたのも、その頃からです、………
本当の事を言うと、52 になる今の今まで、定職にはついていません。
というより、働いて報酬を得てはいません、………
果して、これが人間の人生といえるのか、どうか、……… 」
一同
「……………。」
志茂田景樹
「カツ丼小僧さん、………そう落胆することも、ありませんよ、………
よろしかったら、僕の体で、暖めてあげましょう、………。」
韮澤潤一郎
「うん、僕も、そう思うよ、………
世の中、色んな人がいて、いいんじゃないかな、………
カツ丼小僧さんのような人生も、アリだと思うよ、……… 」
大槻義彦
「そんな、……あんた、………
親や他人に、甘えてばっかりじゃダメですよ、………。
ちゃんと、真面目に働きなさいよ、………
そんなんじゃぁ、「二宮尊徳の法則」に、反するよ、………。」
カツ丼小僧
「ええ、……それでね、………
話を、最初の哲学のところに戻しますとね、………
何故、神は、人生の前半生に、こんな空虚でいたらない年月を
自分に与えたかということなんです、………
もう、自分の人生ですからね、……… 出来れば、否定したくはない、………
いろいろ考え、試行錯誤し、悩み続けましたところ、………
一つの、まるで、当たり前すぎるくらい、当たり前の結論に到達したんです、………
それは、こういう哲学的思想を、
どんな、くだらない、ちっぽけなことでもいいから、半永久的に、
考え続けるだけ、考えてみなさい、………
という、神の意志ではないかと思うんです、………。
現代は、高度経済成長期の昔と違い、
ただ、がむしゃらに、働きづくめに働くことが、美徳という時代では
なくなってきました、………。
「ニート」なんて言葉も出て、僕のようにブラブラして過ごしている人たちも
大勢いる時代です、………。
つまり、時代の方が、段々と、僕に近づいて来ているんです、………
僕が子供の頃だったら、働いていない、なんて、それはもう、
ただただ、他人から軽蔑のマナコで見られるだけで、肩身の狭い思いだったんです。
あの時代で、こういう状態だったら、本当に辛いと思いますが、……… 」
大槻義彦
「でも、あんた、………
何も働かないで、のんびり、ゴロゴロ、空想の世界に浸っていていいっていう
法則が、一体どこにあるの、………?
物理の世界には、そんな法則、一切、存在しませんよ、………
ニートなんて、我々からすれば、屁のカッパですよ、………
ちゃんと、納得のいく説明をしなさいよ、………。」
カツ丼小僧
「ええ、………そうですね、………
ところで、教授、……… 僕が、姓名の持つ魅力に憑りつかれ、
姓名判断に興味を持っているのは、御存知ですね、………? 」
大槻義彦
「ええ、……知ってますよ、………。
あんた、いつも、「名は体を表す」って、言ってるじゃないの、………
………あ、…………… 」
カツ丼小僧
「ええ、……そうなんです、………
それで今回は、少し異例なんですが、自分の本名を持って、
僕の人生を、解明してみることにします、……… 」
大槻義彦
「……………。」
刀根麻理子
「カツ丼さん、……頑張って、………。」
松坂慶子
「カツ丼さんっ、……… 」
カツ丼小僧
「僕の本名は、もう既に公開してありますので、皆さん、知っていると思いますが、
「高野 哲(たかの・さとる)」です、………
つまり、この名前を自分なりにイメージしてみますと、
僕が「高」い場所にある、「野」原の上で、ゆったりと「哲」学的思想に耽っている、
という、牧歌的な、絵画的構図が浮かんできます、………。」
高い野原ですから、一般の俗世間とは、ちょっと離れた、やや隔絶された所にいる、
と解釈できます、………
それで、「さとる」、………
つまり、そこで、哲学の「悟り」を開いた、……という事なんです、……… 」