カツ丼小僧
「はい、それでは、前回の続き、………
「今週の遺言」です。 巨泉さん、お願いします。」
大橋巨泉
「はい、それでは、始めます、………
オークランドの若者とは反対に、日本では、年寄りがバスに乗って来ても、
無視して、座ったままゲームをしている若者が目立つ。
こんな事に、貴重な若い時間を使ってしまって、国の将来は「暗い」の一言だろう。
勿論、俺が極端な「ゲーム嫌い」の故もある。
若い頃から読書は好きだが、
フィクションーーー特に推理小説などーーーは読まない事になっていた。
理由は簡単、どんなに複雑な推理小説だって、結末(犯人)は、作者が知っているのだ。
すでに解っている人が居るのに、それを追認する作業が、「時間のムダ」に思えて
仕方がなかった。」
カツ丼小僧
「巨泉さん、話の腰を折ってすいませんが、
僕が子供の頃読んだ、長谷川町子さんの「いじわるばあさん」という4コマ漫画で、
いじわるばあさんが、近所の男に、「この推理小説、面白いから読んでみな。」
と言って、1冊の本を与えたんですが、その男が、家に帰って、布団に潜って
その本を読んでいると、本の途中、半ばか、おそらく犯人明かしの一歩手前の、
クライマックスあたりの所だったんでしょうが、本の中に、サインペンだか何かで、
人の名前が輪で囲ってあって、棒で矢印がついていて、その先に「この人が犯人」と、
記してあったんです。
推理小説の一番いい所で、犯人をバラされて、
その男は、どういう気持ちだったんでしょうねぇ。
一体、今まで、何のために、その本を読んできたのか、……… 」
大橋巨泉
「わははははは。
でも、それこそ、筋書きのないドラマの最たるものだ。いいじゃないか。
だから俺が読むものは、ノンフィクションか、フィクションでも謎解きではなく、
文章の巧さや、内容の豊かさで読ませるものを選んだ。
面白い話がある。
わが国有数の推理小説の名手だった、故・佐野洋さんと、ある時期、
競馬とゴルフを通じて、親しくさせていただいていた。
わが女房は、俺と正反対で、フィクションが大好きで、いつも競馬場で読んでいる。
佐野さんは「奥さん、よろしかったら、ボクの旧作、みんな差し上げますよ。」と言う。
そしてある時、何十冊という御著書を送って下さった。
さすがの女房も読破するのに2年ぐらいかかったが、俺は一冊も読んでいない。」
カツ丼小僧
「僕は、頭が鈍くて、本を読むのが、滅茶苦茶ノロい、………
その上、読んでいる内に、他の雑念が入って来て、いつも読む事に集中できない。
僕も、巨泉さんと同じで、フィクションよりも、ノンフィクションが好きなんですが、
眼も極度に悪いので、最近では、というより、もう10年くらい前からでしょうか、
本は「自己啓発本」のものしか読んでいません。あ、あと、エロ本も、……… 」
大橋巨泉
「俺の「今週の遺言」を読んでいるじゃないか、……… 」
カツ丼小僧
「!」
一同
「わははははは。」
カツ丼小僧
「ネットのウィキペディアで、たった今、面白い事実を発見しました。
佐野洋(さの・よう)さんは、25歳の頃、読売新聞社に入社したそうですが、
当時、兼業作家でもあったので、ペンネームを「社の用」にかけて、
付けたのだそうです。」
中村玉緒
「でも、何故、巨泉さんは、フィクションや推理物は、お好きではないのですか、? 」
大橋巨泉
「うん、そのことについて、佐野洋さんと話し合った事はある。
俺にとってゲームとは、まさに、競馬やゴルフ、
マージャン(インフレ・ルールを除く)であって、
筋書きのないドラマである必要がある。
ほぼ実力通りに終る、囲碁・将棋と、
100%スペキュレーションの、宝くじやロトの中間にあるものだ。
佐野さんのような緻密な頭脳も、これに惹かれ、このために悩むのだと知った。
ゲームは息抜きである。
国民や若者が、街中で夢中になる種類のものではない。
そんな国の将来は、明るくない。
今の日本を見ていると、国民はゲームに夢中になり、
極く一部の階級が、兜町で「株取引」という、巨大なゲームに、操り、操られしている。
ただ何だか解っている結末に対して、空しく動いているに過ぎないのではないか。
近づいてくる死に直面して、そんな思いに捕われる、今日この頃である。 」
カツ丼小僧
「はい、巨泉さん、お疲れ様でした。本日の座談会は、ここまでです。」
刀根麻理子
「ほ、本日の座談会って、今回は、まだ誰も喋っていないわよ~~~。」
松坂慶子
「ねえ、……… 」
カツ丼小僧
「ええ、でも、今日(2月1日)は、前回の分も合わせて、2回ありました。
でも、喋り足りない人がいれば、どうぞ。 」
廣瀬浩志
「麻理子、……… 」
高内春彦
「慶子、……… 」
デヴィ夫人
「ほほほほほ………。いやですわ、この方たち、………
何をノロけているんでざんしょう。」
青田典子
「ああ、……玉置さんの、カ、ラ、ダ、……… 」
中田有紀
「おはよ~~~ん! ……… は、去年で卒業しました。」
一同
「えっ、?」
カツ丼小僧
「ええ、そうだったんですね。 ビックリしました。
最近、殆どテレビを観ていないもんで、………
去年の夏に、もう既に入籍を済ませ、………
それから現在、お腹に、第1子を、……… 」
中田有紀
「うふふっ♡、そうなんです。 」
一同
「あ~~~~~~~~~っ、(落胆の声)」