カツ丼小僧
「皆さん、今日もお集まり頂き、誠にありがとうございます、
今日の座談会も、やはり、大橋巨泉さんの、「今週の遺言」です、………
今週号(11月7日号)の「週刊現代」、96ページをお開きください、
見出しには、
「がんの転移は容赦ないが、俺はラッキーな方らしい、
癌を「モグラ叩き」してみる、」
………と、あります、………
なんか、面白そうですね、………
それでは、巨泉さん、お願い致します、……… 」
大橋巨泉
「うん、………
今年の春、右肺の下葉に、また腫瘍つきのリンパ節がみつかった、
PET検査すると、右の肺にまっ赤になって、イバッていた、
5月18日に、下葉ごと切除していただいた、………
そして呼吸器外科の渡辺先生は、その奥に、もう一個のリンパ節を見つけ、
それも、切り取ってくれた、………
そして、うれしい「キャンサー・フリー宣言」をしてしまった、」
中村玉緒
「ぬほほほほ、……… 確か、そんな事がありましたな、……… 」
三浦友和
「あの時は、この座談会の出席者、みんなで喜んだっけ、……… 」
藤原紀香
「私も、あの時は、なんだか、アソコが濡れてきちゃった、……… 」
一同
「?、?、?、?、?、」
大橋巨泉
「ところが、秋の検診では、逆の左胸の縦隔に、真っ赤なものが、
憎々しげに映っていた、………
そして、右側にも、やや小型で赤くないヤツが、怪しげに映っていた、………
3人の先生(松本・伊藤・渡辺)の一致した意見は、
左側のものは、ほぼ間違いなく、がん、………
右側のは、グレイゾーンに属する、……という、………
そして、立てた作戦は、10月14日に手術、まず渡辺先生が、左側のリンパ節切除、
無事成功したら、松本先生にバトンタッチして、右側の方に挑む、」
中村玉緒
「大変そうですな、……ぬほ、……いえ、もちろん、笑いません、……… 」
大橋巨泉
「”無事”と言ったのは、今回の場所は、ともに声帯を司どる反回神経に近く、
影響を与えると、声が出なくなったり、嗄れたりしてしまうという、………
そんな訳で、両先生曰く、
「今回は電気メスが使えないので、その分、時間がかかります、」
………と、………
何故、お二人かというと、
左胸のヤツは、呼吸器部位に近く、右側のものは、頭頸科に属していたらしい、
俺は、
「いいですよ、もうジジイですから、声が多少出なくても、嗄れても、……… 」
と、言ったが、
二人の外科医は、声を揃えて、
「いや、そうは行きません、………
巨泉さんの口から妙な声が出たら、ファンの方に怒られてしまいますよ、」
という、………
何だか、胸が熱くなった、 」
カツ丼小僧
「そうですよ、巨泉さん、………
僭越ですが、近い将来、巨泉さんと、テレビやネットなどで対談するのが、
僕の夢です、……… 声は大切にしてください、」
藤原紀香
「あっはぁぁぁぁ~~~~ん、♡♡♡、 わ、私の声もね、………
あ、愛之助さん、ご、ごめんなさい、……… あぁぁぁぁ~~~~~~っ、♡♡♡ 」
飯島直子
「ふん、……… 」
陣内智則
「お、俺は、……… もう、過去の人なのか、………? 」
大橋巨泉
「結局、先行する渡辺先生が成功したら、松本先生もギリギリまでアタック、………
逆の結果が出たら、松本チームは ”安全第一に” という事になった、
全身麻酔で、二つのチームによる手術は4時間に及んだが、
見事に二つとも摘出した、………
現在の心境は、何だか、もう少し生きていられるような気がしている、………
勿論、がんは侮れない、………
この2年の間に4回(5回ともいえる、)も転移して来た、………
しかし、4人の最前線の医師と話していると、希望が湧いてくるのだ、
癌にはまだ不明の部分も多い、………
だからこそ、”治療しないのに治ったり、治療したら逆に死んでしまった”
ような事も起る、……… 」
カツ丼小僧
「僕のアソコは、若い頃の自慰のやり過ぎで、死んでしまいましたが、
自然治癒の回復を狙っています、治療はしません、……… 」
所ジョージ
「おいっ、ちょっと、あんたっ、………
つまらんこと混ぜっ返すなよ、……… 不謹慎な、……… 」
一同
「わははははは、……… 」
大橋巨泉
「しかし、解って来た事もある、………
癌の転移でまずいのは、いっぺんに沢山現われるケースと、
手術できない部位に出るケース、………
俺の姉妹や友人には、前者の場合が多い、………
次に手術できないところ(たとえば脳とか、)に転移するケースもよくない、
そうなると、治療の幅が狭くなる、………
俺の場合は1個か2個、しかも手術可能なところに転移して来た、
こういう人はタマに居て、結構生きるんだそうだ、………
だから、この状況が続く限り、出てくる癌を、
「モグラ叩き」のように、やっつける事にしている、
81歳のこの体に、どのくらい抵抗力があるのか不安だが、
折角の医師たちの提案だ、
頑張って、金婚式を目指してみるか、………と、考えている、」
大橋寿々子
「あなた、……… 」
大橋美加・豊田千加
「パパ、……… 」
カツ丼小僧
「巨泉さん、ありがとうございました、………
是非、長生きして、百歳ぐらいまで生きてください、………
実は、僕も、そのくらいまで生きる予定でいます、 」
一同
「えぇ~~~~~~~っ、! ! ! ? ? ?
ひゃくさぁぁぁぁ~~~~~~~~~~い、??? 」
カツ丼小僧
「ええ、……そうなんですよ、……
特に僕の場合、そうでないと割りに合わないんです、
だってね、僕、現在、51ですが、若い頃から、テレビに出たいとか、
漫画で全国的にヒットさせ、大衆を渦に巻き、儲けたいとか、
結構、華やかな事ばかり空想していたにもかかわらず、
今の今まで、殆ど夢が叶っていないんです、………
とても、60、70、80、ぐらいでは死ぬ訳にはいきません、
現実に目の前に起こる事象は、空想してきた時間の総量に等しい、
というのが僕の考えですから、
あと、50年ぐらい生きないとおかしいし、死んでも死にきれません、
しかも、生意気な事を言うように聞こえるかもしれませんが、
今年を境に、どんどんと若返っていくつもりです、………
死ぬ時には、赤ん坊になっているつもりで、………
もちろん、アソコも、70にして、勃つ、です、……… 」
一同
「わははははは、……… 」
マツコ・デラックス
「ちょっと、アンタ、……… いやぁ~~~ねぇ~~~、」
浅香唯
「カツ丼さんの子供の頃のあだ名って、面白いのよ、
「爺や」なんですって、……… 」
カツ丼小僧
「はい、そうなんです、……今は「小僧」ですが、………
それでは、今回の座談会は、これで終了です、………
あ、……最後に悲しいお知らせがあります、………
僕が子供の頃、よく観ていた、
TBS のテレビ番組、「お笑い頭の体操」のレギュラー解答者でもあり、
落語家の、橘家圓蔵(たちばなや・えんぞう)、
当時・月の家圓鏡(つきのや・えんきょう)(本名・大山武雄)さんが、
今月7日、心室細動のため、お亡くなりになられました、………
小学生の頃、巨泉さんや、ザ・ドリフターズと並んで、
僕にとっては、最も馴染みの深いタレントでした、………
テンポの速いギャグと、トレードマークの黒縁メガネが印象に残っています、
享年81歳、……… お疲れ様でした、………ご冥福をお祈り致します、………
巨泉さんも、……… 」
大橋巨泉
「うん、………
名跡・橘家圓蔵を継いでから、何十年も経つのに、
俺は、ずっと ”円鏡さん” と呼んでいた、………
とにかく、その前、何十年以上も、毎週「お笑い頭の体操」で、そう呼んでいたので、
あの顔を見ると、”圓鏡さん” としか、出てこなかった、
ときどき、言い返すと、「いいですよ、古いつきあいですから、」
と、気にしなかった、………
アドリブの出来る、数少ない落語家で、古典も一家をなしていた、………
俺が、「三大若手」と呼んでいた、
志ん朝、談志、圓蔵は、誰もいなくなった、
至極残念である、……… 」
カツ丼小僧
「橘家圓蔵さんは、巨泉さんと同じ、昭和9年生まれですね、………
あれっ、……以前、言いましたっけ、?
では、皆さん、また次回、お会いしましょう、………
シー・ユー・アゲイン、……… グド、ラァァァァ~~~~~クッ、」
今井優子
「さよなら~~~、」
角松敏生
「俺は、♪「さよならなんて絶対言わない」、……… 」
一同
「おや、………? 」
角松敏生
「いや、……そういうタイトルの曲もあるの、……… ふふふっ、……… 」