カツ丼小僧と有名人のドスケベ座談会 245

カツ丼小僧

「それでは、お待ちかね、………「週刊現代」(3月28日号)、

 大橋巨泉さんの「今週の遺言」です、………

 

 見出しには、

 「孤独死は、したくないと思う、………

  ソシアル・ネットワーク時代の落とし穴ではないか? 」

 

 ………と、ありますね、……… それでは、巨泉さん、お願いします、……… 」

 

大橋巨泉

「うん、………

 俺さ、……近頃、毎日のように、死について考えるようになったんだ、……… 」

 

カツ丼小僧

「え~~~~っ、! ? そうなんですか、? 今頃、………?

 僕なんか、若い時から、5分置きごとに考えてますよ、……… 」

 

一同

「わははははは、……… 」

 

大橋巨泉

「どなたの言葉か、思い出せないが、ある作家が、かつて、

 

 「中年を過ぎて、一日一回、死について考えないのは、おかしい、………

  しかし、一回以上考えるのは、もっと、おかしい、」

 

 ………と、あった、……… 」

 

カツ丼小僧

「ええ~~~~~~~~~っ、! ! ? ? 」

 

一同

「わははははは、……… 」

 

大橋巨泉

「たしか、こんな文章だったが、

 現在の俺は、2回以上考えていると思う、……… 」

 

中村玉緒

「私は、自分の事より、死んだ、勝新さんの事ばかり、……… 」

 

一同

「ほぉ~~~~~~~~っ、……… 」

 

大橋巨泉

「まず、一昨年の「二度目の癌」で、副作用や、後遺症に苦しんだことがある、………

 昨年は、三度目の癌が発見されたこともある、………

 暮になって、千加(次女)の夫が、大動脈解離で急死したことも影響していよう、………

 

 それに追い討ちをかけるような訃報に接した、………

 亡くなったのは、現役時代、20年以上にわたって、

 俺のマネージャーをつとめてくれた、近藤利廣君である、……… 」

 

近藤真彦

「うわっ、……俺と同じ名字っ、……嬉しいなっ、……… 」

 

田原俊彦

「あははははっ、………ボクと同じ、トシちゃんでぇ~~~すっ、」

 

ビートたけし

「けっ、……ガキの会話だ、……… 洒落にもならないよ、……… 」

 

マツコ・デラックス

「あんた、人の事なんて、言えんのかしらね、………

 あんただって、昔、いい年して、

 タケちゃんマンなんて、やってたじゃないのさっ、………

 私、なんだって、知ってんのよ、……… 」

 

明石家さんま

「クワーーーーーーーッ、カッカッカッカッ、……… ヒーーーーッ、ヒーーーーッ、

 ア、アンタ、よ、余計な事、言いはりまんな、……… 」

 

大橋巨泉

「近藤利廣君は、1938年生まれだったから、76歳の筈であった、………

 彼が俺のマネージャーになった時、俺はまだ、タレントになっていなかった、

 ジャズ評論家、兼、放送作家であったから、もう半世紀も前の話である、

 

 1964年当時、………  」

 

カツ丼小僧

「あ、……1964年、……それって、僕の生まれた年だ、……… 」

 

近藤真彦

「俺も、……… 」

 

高島礼子

「私もよ、……… 」

 

三原じゅん子

「私も、……… 」

 

高知東生

「おい、お前ら、つまらねえこと、言ってんなよ、………ガキじゃあるまいし、……… 」

 

野村義男

「………お、俺、………も、……… 」

 

大橋巨泉

「1964年当時、………

 俺は、エマノン・プロという事務所に所属し、近藤は、そこの社員だった、

 エマノンは、いわゆる、芸能プロではなく、経理事務所だった、………

 

 所属していたのは、作家、評論家、作曲家など、スタッフ側の人間で、

 芸能人は居なかった、

 

 社長は、広瀬礼二さんといって、経理の専門家だった、………

 主として我々の財務をやってくれて、10%の手数料を取るだけの、

 良心的な事務所であった、

 

 ところが、'65年の11月に「11PM」が始まり、

 ひょんな事から、俺は、タレントになってしまった、………

 そこで、広瀬さんは、近藤を、オレ専属のマネージャーにしたのである、」

 

中村玉緒

「オレオレ、マネ、……… 」

 

高知東生

「今日は、くだらんなぁ、……… 」

 

近藤真彦

「いつもでしょ、……… 」

 

田原俊彦

「あははははっ、……… 」

 

野村義男

「ふふっ、……… 」

 

武田鉄矢

「の、……野村が、…… 野村が、笑った、……… 野村が、……… 」

 

マツコ・デラックス

「だから、アンタ、大袈裟だって言ってんじゃない、………

 や~~ねぇ、……… いい加減にしてちょうだいよ、

 よっちゃんが、可哀想でしょ、……… 」

 

野村義男

「ふっ、……… 」

 

武田鉄矢

「あっ、…… また、少し笑った、…… 少し、……… 」

 

野村義男

「……………。」

 

武田鉄矢

「あ、……… 」

 

大橋巨泉

「翌'66年の4月から、俺は、正式に司会者となり、とんとん拍子に、

 タレントとして、売り出した、………

 近藤も、初めての世界だったが、持ち前の明るさと、人見知りしない性格で、

 どんどん職場を広げて行った、

 

 やがて一年間の”お礼奉公”(古風だが、離婚時、保証人になってくれた、

 広瀬社長への謝意であった、)のあと、独立して、大橋巨泉事務所を設立し、

 近藤は、社長になった、……… 」

 

カツ丼小僧

「大橋巨泉事務所かぁ、……… いいなぁ、………

 僕も、一度、芸能プロダクションに、所属してみたいんですが、……… 」

 

大橋巨泉

「うん、………いいよ、………

 よかったら、今度、一度、俺の事務所に遊びに来いよ、………

 まぁ、今は、「大橋巨泉事務所」じゃなくて、

 「オーケープロダクション」っていうんだけどね、……… 」

 

小倉智昭

「え~~~~っ、!!!??? きょ、巨泉さん、…… それって、本当ですか、?

 こ、こんな奴が、事務所に入ったら、事務所、潰れちまいますよ、……… 」

 

大橋巨泉

「わははははは、……… 小倉、………

 お前を入社させる時だって、オレ、本当は、相当覚悟がいったんだぞ、……… 」

 

中村玉緒

「ぬほほほほ、……… オレオレ、覚悟、……… 」

 

所ジョージ

「玉緒さん、…… それって、何なのよ、………

 洒落にも、ナ~~ンにも、なってないじゃない、………つっまらない、……… 」

 

中村玉緒

「そうやって、すぐ、他人にダメ出しするのが、あなたの悪い、ト・コ・ロ、……… 」

 

所ジョージ

「やった、………♡ 」

 

大橋巨泉

「俺は、今でもそうだが、経営者としては、「君臨すれども、統治せず」、

 というスタンスで、通している、………

 オーナーである俺が、いつも会社にいては、社長や総支配人は、やりにくい筈だ、

 

 年に一度の、幹部ミーティングで、大まかな指示や注意をするだけで、

 俺自身は、月に一回も、事務所に顔を出さない、

 

 近藤も、やり易かったと思う、………

 仕事は順調だったが、俺は「自分の番組しか出ない、」というスタンスを

 守っていたので、他のタレントも入れるようになった、………

 しかし、この一種の「放任主義」は、失敗であった事になる、

 

 近藤は、マネージャーとして、タレントに仕事を取ってくる事には長けていた、………

 しかし、それでいくらの利益が出るのか、という計算が出来ない、………

 いわゆる、ドンブリ勘定であった、

 テレビ1本、100万円のギャラのタレントも、5万円のタレントの仕事も、

 同じようなプロセスで、取っていたらしい、……… 」

 

松坂慶子

「そうですわねぇ、………

 タレントといっても、ピンからキリまで、色々、ありますものねぇ、……… 」

 

野村義男

「………お、……おい、……も、もう、いい加減に、しろよ、………

 も、……もう、こ、こんな座談会、………出て、……やらない、から、な、……… 

 

 どうせ、俺は、まったく人気の出なかった、アイドルだよ、……

 でも、それで、俺の人間性や、全てを否定する事もないだろう、……… 」

 

一同

「あ、……… 」

 

松坂慶子

「え、……? あ、…… す、すいません、……… 野村さん、………

 わ、私、別に、そんなつもりで言った訳じゃありませんのよ、……… 」 

 

武田鉄矢

「そ、そうだぞ、野村、……… おまえだけじゃないんだ、………

 人間、みんな、不憫してるんだぞ、………みんな、どこも、……大変なんだ、………

 いいな、……… 不憫は、お前だけじゃ、ない、………

 

 なんだ、「たのきんトリオ」の時、一人だけ人気が出なかったからといって、

 そんな事がなんだ、……… ん、……? 辛抱なさい、……… 辛抱、………

 もう、30年も前の事じゃないか、………


 いいかい、野村、………

 「辛」い という字に、横棒をひとつ加えるだけで、人は「幸」せ、となるんだ、

 つまり、人の幸福というものはだ、………

 案外、ちょっとした工夫や智恵で、簡単に手に入るものなんだよ、………

 

 せ、先生は、おまえを、そんな子に育てた覚えはないぞ、………

 こんな風に、先生は、お前の事を叱るけど、

 本当は、お前が可愛いからなんだ、………

 お前を、愛しているからなんだ、……… 


 私はね、………出来の悪い生徒ほど、可愛いんだ、………

 

 もちろん、松坂さんだって、悪気があって、言ったんじゃないんだ、……… 

 さ、……野村、…… 松坂さんに、お謝りなさい、………

 さ、……… 謝るんだ、……… 」

 

野村義男

「……………。 う、う、……うるせぇっ、……… うるせえっ、………

 ど、どいつも、こいつも、……お、俺をっ、……… 

 俺を、バカにしやがってっ、……… 」

 

 

  その時、悲劇が起こった、………

  

  よっちゃんこと、野村義男は、そう叫ぶや否や、いきなり、手に持っていた、

  ビール瓶を片手に、浴衣姿のまま立ち上がり、顔を真っ赤に紅潮させて、

  恩師の金八先生こと、武田鉄矢に襲い掛かった、………

 

一同

「あっ、……… 」

 

 

  座談会に出席していた人々は、この余りの不意の出来事に、

  目がくらみそうになったが、もう、間に合わなかった、………

  

  積もりに積もった怒りを、ついに爆発させた野村義男は、

  振り上げたビール瓶で、恩師・武田鉄矢の眉間を叩き割った、………

  何度も、……何度も、……


  辺り一面に、ガラスの破片と鮮血が飛び散り、眉間を叩き割られた、武田鉄矢は、

  顔中を血まみれにして、体ごと勢いよく、その場の座敷上に崩れ落ちた、………

  しかも、顔面を畳の上に、モロに打ちつけたらしい、……… 

 

  「ヒィーーーーーーーッ、」

  

  「キャァーーーーーーーーーッ、」

 

  「お、おいっ、………、きゅ、……救急車だっ、救急車を呼べっ、……… 」

 

  「タンカだっ、……… タンカをもって来いっ、……… 」