カツ丼小僧
「はい、それでは、昨日の続き、………
「幸福(しあわせ)の黄色いハンカチ」を語ろう、」……今日は、その2回目です、
それでは、今日は、近藤さんからお願いします、……… 」
近藤真彦
「え、? 俺、………? 」
カツ丼小僧
「いえ、違います、……… 近藤勝重さんです、……… 」
近藤真彦
「冗談だよ、……… 」
田原俊彦
「あはははははっ、……… 」
近藤勝重
「健さんが相当な覚悟で臨んだ、「幸福の黄色いハンカチ」は、
ふたを開けてみれば、大成功を収めました、………
この映画は、もちろん任侠ものではないけれど、
随所に、ファンの期待を裏切らない、健さんらしさも盛り込まれていました、 」
武田鉄矢
「そうですね、………
たとえば、物語の冒頭、健さん演じる島勇作は、網走刑務所から出所してくる、………
ここからして、「網走番外地」に出演していた任侠映画の健さんが、
新しい役に挑もうとしている、という健さん本人の姿と重なります、……… 」
カツ丼小僧
「鉄矢さん、……そういった考えは、僕の考えとそっくりです、………
たとえば、作家の書いた本のタイトル等が、その時の、その作家の
生活や心理状態を暗示している場合が、まま、あります、」
大橋巨泉
「そ、それじゃぁ、俺の「今週の遺言」は、………? 」
カツ丼小僧
「きょ、巨泉さん、………
巨泉さんは、「今週の遺言」を、あと20年ぐらい、続けてください、
僕も、ついていきますから、……… 」
大橋巨泉
「ははは、…… 俺さ、マンネリ、苦手なんだよ、……… 」
タモリ
「……………。」
武田鉄矢
「健さんには、夕張で暮らす別れた妻(倍賞千恵子)がいて、出所後、彼女に、
<まだ一人暮らしで、俺を待っていてくれるなら、
鯉のぼりの竿に、黄色いハンカチを、ぶらさげておいてくれ、………>
と書いたハガキを送る、………
そして、偶然出会った、ノリの軽い若者二人と、夕張を目指すことになる、………
その若者が、僕の演じた、花田欽也と、桃井かおりさんが演じた、朱美でした、」
中島貞夫
「ところが、道中は、決して単調ではない、………
健さんは、最後まで迷っているわけですね、………
別れた妻に会いに行くべきか、どうかを、」
武田鉄矢
「はい、……僕たち3人は、まっ赤な車に乗って夕張に向かうのですが、
健さんは、「あいつが一人で暮らしているはずがないんだ、いい女だからな、」
と、車を引き返させてしまったりする、……… ハラハラさせますよね、
でも、桃井さんが、
「もしも、奥さんが、一人で暮らしていたら、どうするの、」と説得して、
健さんは、やっぱり、夕張に向かう決断をする、……… 」
カツ丼小僧
「まぁ、そうならなけりゃ、話は成り立ちませんからね、……… 」
松田賢二
「こらっ、水を差すなっ、……… 」
近藤勝重
「そして、いよいよ、夕張の自宅が近づくと、
そこには、黄色いハンカチがたなびいていた、………
あのハンカチで、山田洋次監督は、
喜びに打ち震える、勇作の心を表そうとしたのでしょうね、……… 」
カツ丼小僧
「シンボライズ、ですか、………
う~~ん、……僕も、そこまでは、考えが及びませんでした、……… 」
黒咲蘭
「文学的ですわね、…… でも、プレイには無用、……… 」
皇太子妃・雅子様
「ぶひっ、ぶひっ、……… 」
西田敏行
「あらら、…… 以前は、文学的であられた雅子様、………
今はもう、人の発する言葉を、忘れてしまったんだろうか、………? 」
カツ丼小僧
「ふひひひひ、……… 」
武田鉄矢
「作品が封切られた直後、僕も、銀座の映画館に見に行ったんですが、
黄色いハンカチが見えた途端、館内から、一斉に、すすり泣く声が上がりました、」
中島貞夫
「東映の監督仲間とは、「健さんは、こっちの方向に行きたかったのかなぁ、」
と話したものです、………
東映での健さんは、アウトローのヒーローを演じましたが、
この主人公は違った、………
一見、アウトローのように見えても、実は、妻との平凡な幸せを願う、
どこまでも、優しい男でした、」
皇太子妃・雅子様
「ぶひひっ、…… あっ、…… 優しい男、浩宮様は、………? 」
一同
「わははははは、……… 」
武田鉄矢
「でも、本当は、僕、現場で初めて、健さんにお会いしたときは、
怖かったんですよ、………
'60年代に、思春期、青春期を送った、僕にとっては、
やっぱり健さんは、伝説的な存在であり、雲の上の人、………
一緒にいるだけで、息が詰まりました、……… 」
近藤勝重
「そうでしょうねぇ、……… 」
武田鉄矢
「でも、撮影が始まると、健さんは雲の上から、
僕や桃井さんのところまで、降りて来てくれた、………
思い出深いのは、健さんの「嫉妬」、
作中、武骨で寡黙な健さんの役に対して、僕の演じた欽也は、
健さんと一緒にいても、女の子に、ちょっかいを出そうとして、
いつも、ドタバタと、おかしなことをしている、
山田洋次監督は普段、計算し尽くされた演技指導をする方で、
アドリブなども、滅多に許してくれる事はありません、
ところが、このときは、なぜか僕に、「ここは、どうしようか、」と、
アイディアを求めて、いくつかを、探り入れてくれたんです、」
近藤勝重
「それは、珍しいですね、……… 」
武田鉄矢
「僕の演技は、素人同然でしたが、監督は、当時の若者代表として、
僕のノリを、買ってくれたのかもしれません、………
僕が、思い切り演技をすると、監督が噴き出したこともあって、
山田組のスタッフの方が、「監督、俳優さんが演技しているのに、失礼ですよ、」
なんて、たしなめたりしていた、………
そんな撮影が終わったあと、健さんは、拳で僕の肩を押しながら、
「何だか、お前ばっかり誉められているじゃないか、」と、
すねるような事を言って、ニヤッと、笑ったんです、……… 」
中島貞夫
「へぇ~~~っ、そりゃ、健さんらしいね、……… 」
カツ丼小僧
「はい、皆さん、お疲れ様でした、………
今日も、大好きな健さんを、思う存分、語って頂きましたが、
今日の座談会は、ここで、終了という事にします、……… 」
有村架純
「それで、最後の一言、という訳ですね、……… 」
カツ丼小僧
「はい、そうです、……… それでは、どなたか、お願いします、……… 」
沢田研二
「この映画に、名優の渥美清さんも登場してきたけど、ほんのチョイ役だった、………
もったいない、……… 」
松山千春
「舞台は、北海道なんだ、……何で、俺に出演依頼が、来なかったんだろう、? 」
泉谷しげる
「北海道は、何も、千春だけのもんじゃないって、………
それに、1977年の作品だよ、………千春が、まだデビューしたばっかりの頃だ、 」
浅香唯
「もしかしたら、中島みゆきさんも、脚本家の倉本聰さんも、
みんな、出演したかったんじゃないかしら、? 」
大西結花
「最近、見かけなくなった、千堂あきほさんが、
現在、北海道に住んでいるっていう、ウワサが、……… 」