カツ丼小僧
「それでは、昨日の寅さん映画の話の続きです、………
では、長山さん、お願いします、……… 」
長山藍子
「お嬢様や、インテリ、高嶺の花のような、寅さんとは格差のある美女ですか、………
でも、女性の目から見ると、そんなこと気にしないと思うんです、
かりに、私自身が、寅さんのような男性と出会ったら、
「この人を、なんとかしてあげたい、」という思いが先に立つ気がしますね、………
素敵な人ですから、愛しちゃうかもしれない、……… 」
中村玉緒
「ふむふむ、母性愛的心情が芽生えるという訳ですな、………
カツ丼小僧さんも、本質的には、寂しがり屋ですので、
そのような女性を求めておるようですわ、……… 誰か、……… 」
川本三郎
「私はね、この寅さんの「叶わぬ恋」という物語の源流は、
阪東妻三郎が上演した戦時中の名作映画、「無法松の一生」にある気がするんです、
この映画では、主人公の「車」引きの「松五郎」が、陸軍大尉の未亡人に恋をする、」
前田吟
「身分違いの恋ですよね、………
寅さんの性は「車」だし、それは、当たりかもしれませんねぇ、……… 」
川本三郎
「しかも、松五郎は、未亡人に思いを打ち明けられず、
指一本、触れられなかった、……… 寅さんと同じでしょう、……… 」
中村玉緒
「カツ丼さんは、自分にとって、高嶺の花である高貴な身分の女性を、
自分以下の家畜にまで引きずり落として、いたぶってやるのが夢だそうです、………
そこは、狡猾で残忍、………寅さんとは、まったく違いますな、……… 」
皇太子妃・雅子様
「私、……… カツ丼さんになら、……… 」
浅香唯
「寅さんと、カツ丼小僧さんとは、見た目も随分違っていますけど、……… 」
松坂慶子
「太っている人に、悪い人はいないって言いますけどね、……… 」
カツ丼小僧
「実は、僕も、10年くらい前までは、まともに身動きできないくらいに、太っていて、
もう、あと僅かで、体重が3桁を越えそうな所まで行ったんです、……… 」
松坂慶子
「春彦さんみたいに、プヨプヨ太っている人って、なんか、愛くるしいわ、……… 」
高内春彦
「慶子、………わかった、………俺、もっと、もっと、太るよ、………
期待して、見ていてくれ、……… 」
長山藍子
「寅さんも、本当に無垢で奥手な人ですからね、……… 」
川本三郎
「そう、常にプラトニックなんです、………
第1作で、マドンナの冬子と飲んだ帰り道、
寅さんは、<殺したいほど惚れてはいたが、指も触れずに別れたぜ>
………と歌う、………これぞ寅さんですよね、……… 」
カツ丼小僧
「何か、そこには、自分と共通項が、ありますね、……… 」
長山藍子
「私が演じた節子も、寅さんのことを、やさしくて、面白くて、
いい人だと思っているんだけども、
寅さんが自分に恋しているとは、気がつかないんです、」
川本三郎
「そんな寅さんだから、女性の体を求めるなんて、間違ってもありえない、」
カツ丼小僧
「あ、…… そこは、僕とちょっと違ってますね、………
僕の頭の中は、女の裸体のことで、いっぱいです、
ただ、極度に臆病な性格なもんで、……… 」
川本三郎
「ファンの間では、「寅さん童貞説」も、
まことしやかにささやかれていると言います、」
前田吟
「そうなんですか、? 」
カツ丼小僧
「あ、………そこは、同じだ、……… 僕も、50の今まで、一度も、……… 」
川本三郎
「いえ、寅さんは、あくまでウワサです、………
第29作「寅次郎あじさいの恋」('82年)では、
マドンナ・かがり(いしだ・あゆみ)が寅さんに好意を寄せ、
寝床にまで忍び寄って来るけど、寅さんは手も握らなかった、……… 」
カツ丼小僧
「そんな事があったら、僕だったら、抱きついちゃうかも、……… 」
角松敏生
「おまえ、さっきから、何をゴチャゴチャと、……… 」
前田吟
「でも、寅さんは、ずっとモテない、朴念仁というわけでは、まったくないですよね、」
川本三郎
「ええ、第10作「寅次郎夢枕」('72年)でも、八千草薫さんが演じた、
幼馴染みの千代から、「私、寅ちゃんとなら、一緒に暮らしてもいい、」
と言われています、……… 」
前田吟
「榊原るみさんが演じた、花子もそうでした、
第7作「奮闘篇」('71年)のマドンナで、
青森から出て来た、あどけなく薄幸な少女でしたが、
自分のために奮闘する寅さんを見て、
「寅ちゃんの嫁っこになりたい」と、打ち明けるんです、」
カツ丼小僧
「僕は、今の今まで、一度も、そんなことを言われた事が、ありません、
誰か、……… 」
中村玉緒
「この方の言う事は、あまり真に受けない方がいいですよ、………
どこまでが本当で、どこまでがウソなんだか、……… 」
長山藍子
「寅さんは、一生懸命、一途に愛してくれますからね、………
女性の立場で言えば、寅さんには、生活力はないけれど、
自分自身が働く女性だったら、そんなこと構わないし、………
ただ、若いうちは、子供が生まれることも考えてしまうから、
その点は、少し不安かな、……… 」
カツ丼小僧
「僕は、もう、あっちの方は枯れ果てて、精液も、よう出ないから、
その点については、心配いらない、……… 」
角松敏生
「くっ、……… 何をバカな事を、……… 」
川本三郎
「たしかに、寅さんが、父親になるのは、想像できないですね、
一方で、歴代マドンナのなかには、子供がいるという設定の人も珍しくない、
これも、特徴の一つと言えます、………
たとえば、第3作「フーテンの寅」('70年)で、
新珠美千代さんが演じた、旅館の女将・志津には、娘が、………
第8作「寅次郎恋歌」で、
池内淳子さんが扮した、喫茶店主・貴子には、息子がいました、」
前田吟
「他の映画や、ドラマでは、ヒロインに子供がいるというのは、稀ですよね、
寅さんには、子供が、よく懐くんですよ、………
純粋で、言葉に嘘がなくて、目線がまったく一緒ですからね、……… 」
カツ丼小僧
「そこも、僕とは、まったく逆だ、………
僕には、子供は、まったく懐きませんし、
それどころか、僕をみると、怯えて逃げていきます、………
また、僕自身も、子供には距離を置いていて、殆ど興味もありません、……… 」
浅香唯
「カツ丼さんに興味のあるのは、女と、果てしない程の権力欲ですか、……… 」
カツ丼小僧
「うん、……でも、唯ちゃん、………
もしかしたら、気障な言い方に聞こえるかもしれないけど、
俺、常に上を見ていないと気が済まないタチなんだ、………
常にそうしてないと、なんか自分が、この世から消滅しちゃいそうで、………
恐らく、死ぬまで、……… 」
長山藍子
「計算づくで生きる人とは、正反対に、
寅さんは、心のままに行動する、自由な人でした、……… 」
カツ丼小僧
「すいません、すいません、……… 」
一同
「わははははは、……… 」
川本三郎
「もう一つ、マドンナの特徴を上げると、
成熟した女優の起用が目立つ、という事が、あります、
日本映画のキャスティングは、昔も今も、
とかく若い女性が中心になりがちですが、寅さんのマドンナは違う、
若さよりも、大人の落ち着きと、しっとりとした美しさが、光るんですね、
たとえば、第12作「私の寅さん」('73年)で、
画家・りつ子に扮した、岸恵子さんが、公開時で41歳、………
第18作、「寅次郎純情詩集」('76年)で、
余命いくばくもない女性・綾を演じた、京マチ子さんは52歳でした、 」
高島彩
「余命いくばくもない、女性がマドンナっていうのもねぇ、………
まぁ、話は、組み立てやすいでしょうけど、……… 」
前田吟
「私が演じた、博の息子、満男の、担任の先生が、壇ふみさん、
京マチ子さんは、壇ふみさんの、母親役でしたね、」
川本三郎
「若い檀さんが、マドンナかと思いきや、なんと、そのお母さんだった、……… 」
沢尻エリカ
「ふぇ~~~~~~~っ、」
前田吟
「それにしても、レギュラーで出演していた私などは、
尊敬する名女優が、次々と出てきてくださるので、
それもまた、この作品に出演する醍醐味というか、楽しみでしたね、」
カツ丼小僧
「はい、それでは、今日は、ここまでです、………
皆さん、本当にお疲れ様でした、………また、次回を楽しみにしています、
では、今日、まだ、一言も喋っていない方、
何か、言いたい事がありましたら、どうぞ、……… 」
太田光
「そうだ、………今度、寅さんに、「サンデー・ジャポン」に出演してもらおう、」
田中裕二
「バカ、お前、寅さんは、架空の人物なんだよ、………
渥美さんは、とうの昔に、お亡くなりになっているし、……… 」
綾瀬はるか
「私も、女優として生まれて、一度、寅さん映画に出演してみたかった、……… 」
犬山紙子
「でも、「寅さん」が、あるんやったら、
「象さん」や「熊さん」があっても、いいと思うけど、……… 」
所ジョージ
「ははは、………それじゃ、普通だよ、………
「所さん」てのは、いいけどね、……… 」
ビートたけし
「「所さんの目がテン!」を略せば、トコロテンだぜ、」
大橋巨泉
「わははははは、……… 」