カツ丼小僧と雅子妃は、二人、手を繋いで、渡り廊下を歩いていった、………
カツ丼小僧にとっては、まさに、信じられない出来事だった、………
若い頃からの憧れだった雅子様と二人だけで、手を繋いで歩いている、………
いや、渡り廊下どころか、まるで、ふんわりとした、気持ちのいい
白い雲の上を歩いているかのようにさえ錯覚した、………
こんな事は、恐らく一般人であれば、何人たりとも経験しえない事だろう、
実は、カツ丼小僧と雅子妃は、子供の頃で言えば、学校の学年が同じである、
雅子妃は、1963年(昭和38年)の12月9日生まれ、
カツ丼小僧は、1964年の(昭和39年)の2月13日生まれで、
僅か、2ヵ月ばかり、雅子妃が年上なだけである、………
しかし、僅か2ヵ月だけであったとしても、雅子妃が、カツ丼小僧より
年上であったことは、彼にとっては、喜ばしい事であった、………
彼の本質は、美女を地獄の果てにまで突き落とす、残忍な性癖を持つ、
稀代のサディストであるのだが、その対象となる女は、どうしても、
彼自身より、年が上でなければならなかった、………
それが、たとえ1ヵ月であろうとも、………
カツ丼小僧は、自分より年下の女には、何故か、あまり、
サディスティックな感情が涌かなかった、………
いや、それどころか年下の女には、むしろ、自分の方が苛められたい、
という、倒錯的なマゾヒズムの感情の方が強かったのである、………
何故、彼の精神構造が、このように謎めいているのかは、
もちろん、神以外の何人も、知る由もない、………
実際、本人にでもなってみなければ、わからないだろう、………
まぁ、人の性癖、趣味、趣向、などと言うものは、
それこそ、十人十色で、人の数だけ、あるのではあるが、………
暫く進むと、二人は、突きあたりの廊下を右に曲がって、
また十数メートル程進み、大きな扉をした個室の前に立ち止まった、
カツ丼小僧
「ここです、雅子様、……この部屋の中なんですが、ここは、数日ほど前から、
僕が、このホテルから借り切っている、特別の寝室なんです、………
ここ百日以上に及ぶ座談会の最中に、実は、先程の座敷をこっそりと抜け出して、
有名女優や、女タレント、歌手などと、一夜を楽しんでいたのです、
松坂慶子、刀根麻理子、吉永小百合、南野陽子、中森明菜、小泉今日子、等、
皆そうです、………
それでね、………雅子様、………
実は、中森明菜ちゃんの時もそうだったんですが、
貴方は、相当、心労が溜まっていて、癒やしの治療が必要です、
今から、この部屋の中に入り、僕と一緒にプレイしながら、
治していく事にしましょう、……… 」
皇太子妃・雅子様は、カツ丼小僧の方を、真摯な顔つきで見やった後、
楚々とした表情で、ニッコリと微笑んだ、………
カツ丼小僧が、ドアのノブを回して扉を開き、部屋の灯りをつけた、………
部屋の中は、ほぼ、ピンク一色に統一されていて、
中央には、天蓋付きの、大きなツインベッドが置いてあった、
壁も絨毯も、天井もベッドも、ほぼ全てが、ピンク色だった、………
最近の、ある雑誌のアンケート調査によれば、
男の好きな色、ナンバー1は、「青」、
女の好きな色、ナンバー1は、「ピンク」だったそうだが、………
カツ丼小僧は、まず、扉を閉め、中からドアノブの施錠のつまみを回した、
静寂の漂った部屋の中に、カツ丼小僧と雅子妃、二人が、
間近に顔を見合わせる形になった、………
カツ丼小僧は、改めて、雅子様の顔を、まじまじと見つめ、
その端正で肉づきのよい上品な顔立ちに、心を震わせた………
また、清くて美しい内面が、全て、顔の表情の微細な部分にまで表れていた、
すさんだ心を持った彼とは、真逆の世界に住む麗人だった、
彼はもう、今すぐにでも、全てを捨てて、雅子様の体に飛びつき、
その熟れすぎる程に熟れきった体を、
ぎゅっと抱きしめてやりたいと言う感情を、やっとの思いで押さえていた、………
優雅なローブモンタントの中味は、一体どうなっているのだろうか?
ドスケベ小心者の彼が、とてつもなく大きな獲物を、あたら目の前にし、
震え、怯えている様は、可哀想なくらい滑稽であったのだが、………
皇太子妃・雅子様
「カツ丼小僧さん、これから一体、この私に何をしてくれるのかしら、………?
私、この部屋の中で、本当に心が癒されて、「適応障害」も治り、
正常な精神の状態に戻れるんでしょうか、………?
もし、カツ丼様が、私の心の重荷を解いて、楽にしてくださると言うのなら、………
雅子、何でもします、………私を、カツ丼様の思いのままにしてください、……… 」
雅子妃は、その場に座り込んで正座をし、小さくうずくまり、
両手をついて、深々と頭を下げた、………