カツ丼小僧
「明日は「週刊現代」の発売なんだけど、まだ、一日あるな、
さぁ、今日は何を語ろうか、……… 」
今井優子
「あなた、そんな事、前もって考えて来なかったの、………? 」
カツ丼小僧
「ふふふ、……… 冗談だよ、冗談、………
今日はね、明日からの、「週刊現代」の記事に備えて、
その下ごしらえの準備をしておこうと思うんだ、 」
今井優子
「やっぱり、……… それでこそ、私の旦那さんね、……… ホッとしましたわ、
で、何を、………? 」
妻の今井優子が、そう尋ねると、カツ丼小僧は、おもむろに、
口に、右手の人差し指と中指を咥え、
ピーーーーーーーーーッ、と、ホイッスルのように鳴らした、
すると、座敷の襖が開いて、3人の男が、入って来た、
プロ野球界の、名球会入り大御所、王貞治と長嶋茂雄、それに、
野村克也だった、………
大橋巨泉
「おう、ワンちゃん、また、会ったな、
この前の、俺の傘寿のパーティー以来だ、こっちへ来て、座んなよ、」
王貞治
「いや、巨泉さん、巨泉さんに会えるのが、いつも本当に楽しみで、……… 」
イチロー
「王さん、………お久しぶりです、」
王貞治
「おう、イチロー君じゃないか、元気にしてたかね、……… 」
中畑清
「あっ、長嶋監督、暫くお会いしていませんでしたが、お体の方は、……… 」
長嶋茂雄
「うん、まぁ~~、その、…… グッドな、バディです、ハイ、……… 」
ビートたけし
「長嶋さんは、おいらの青春、そのものなんだ、………
おいらの子供時代は、みんなが野球で、巨人、4番サード、長嶋さ、……… 」
大橋巨泉
「いやいや、時代は変わりました、
野球は大リーガー、司会は巨泉、…………淫画は、何と言っても、カツ丼小僧、」
カツ丼小僧
「ありがとうございます、……… 」
野村克也
「なんや、なんや、ワシには、誰も、出迎えへんのかいな、
ちょっと、失礼やないのか? ほんなら、ワシ、帰るでぇ~~~、」
カツ丼小僧
「あっ、野村監督、すいません、すいません、
御呼出ししたのは、この私でございまして、帰って貰っては困ります、
いえね、明日、月曜日発売の「週刊現代」の記事に備えて、今日の内に、
各ジャンルから、多くの著名人を呼び寄せ、どのような記事の内容にあっても、
うまく対応するための人材を、ここに確保しておこうと思いまして、……… 」
今井優子
「ははあ、なるほど、………そういう事だったんだ、………
細工は流々、って奴ね、……… 」
野村克也
「なんや、お前、ワシの事を、皆に、「ヘボ監督」やと、
言いふらしておるそうやないか、………
そんなんで、ワシを、ここに呼ぶなんて、どういうおかしな男なんや、
ふん、親の顔が、見たいもんやな、……… 」
カツ丼小僧
「いえ、監督、申し訳ありませんが、込み入った話は、また後で、………
あ、……ところで、監督、奥さんの、サッチーこと、野村沙知代さんは、
如何なされましたか? 一緒に、ご招待した筈ですが、……… 」
野村克也
「おう、そうや、もちろん、サッチーも、連れて来ようと思ったんやけどな、
なんでも、ここには、デヴィ夫人と、小倉智昭が、いるそうやないか、
ちょっと、もし、何かあるとまずいんでな、
今回は、サッチーは、連れて来なかったんや、………
それからな、あんた、ワシは、もう監督やあらへん、
野村さん、とでも、呼んでくれへんか?
長嶋さんは、終身名誉監督やから、それでもええのかもしれへんけど、……… 」
カツ丼小僧
「いえいえ、野村さんは、誰もが、「監督」、と言って、慣れ親しんで来た訳ですから、
やはり、「監督」が自然です、「監督」と、呼ばせてください、監督、……… 」
カツ丼小僧は、そう、言うや否や、先のように、指を咥えて、
今度は、ピィーーーーーーーーッ、ピィーーーーーーーーッ、と、
2回、口笛を吹いた、
すると、また、襖が開いて、今度は、すぐには数え切れない程の
多くのタレントや、歌手、俳優が入って来た、………
往年のアイドル歌手で、今は大御所の松山千春と、悪友の、泉谷しげる、
田原俊彦、近藤真彦、野村義男の、元、たのきんトリオ、
それと、恩師の武田鉄矢、友人の西田敏行、
昔のアイドル、松田聖子、小泉今日子、中森明菜、早見優、石川秀美、
松本伊代、堀ちえみ、河合奈保子、柏原芳恵、三原じゅん子、
元、シブガキ隊の、薬丸裕英、本木雅弘、布川敏和、だった、
大橋巨泉
「うわ~~~、こりゃまた随分と、大勢やって来たな、
昔のタコ部屋みたいに、一旦入ったら出られなくなるとも知らないで、………
まぁ、角松敏生みたいに、うまく出て行った奴もいるけどな、……… 」
大橋寿々子
「ほほほ、……… 賑やかでいいと思いますけど、……… 」
今井優子
「敏生、……… 」
松山千春
「えっ? 何だって? 誰がタコに似てるって?
そうか、泉谷か、……… わはははは、……… 」
泉谷しげる
「え? 何? しょっぱなから、俺の悪口かよ、………たまらねえなぁ、……… 」
カツ丼小僧
「いえいえ、すいません、皆さん、さ、さ、どうぞ、気楽にくつろいでください、
今日は、余興です、明日からの本番に備えて、雑談でも交えていてください、」
松山千春
「え? 明日って、……? あ、週刊現代の事ね、
そういう事なら、この私に、まかしときんしゃい、
ね、ね、俺、そういうの、大得意だから、……… 」
松坂慶子
「あれっ、松田聖子ちゃんが来てるわよ、………
郷ひろみさんと、顔合わせにしちゃ、まずいんじゃないかしら、……… 」
南野陽子
「きゃっ、た~~いへんっ、」
カツ丼小僧
「そ、そうだな、……… 人を多く呼ぶと、こういう事もあるから、大変だ、」
雑談を交わしている内に、いつしか夜も更けて、もう夜中の1時になっていた、
消灯して、誰もが皆、毛布にくるまり、眠りについた、………
カツ丼小僧も、皆の寝静まった姿を見て、寝床についた、
一体、明日、どんな記事が雑誌に掲載されているんだろう、………?
面白い話題が提供されて、座談会に花が咲けばいいんだけど、………
あれやこれやと、寝床の中で想像を膨らませている内に、
カツ丼小僧も、いつの間にか、スヤスヤと深い眠りについていた、………