カツ丼小僧
「子供時代、大好きだった、仮面ライダーの本郷猛役、藤岡弘、さんに
来て頂くなんて、ホントに嬉しいです、涙が出そうです、」
藤岡弘、
「はっはっはっはっ、そうかい? そう言って貰えると嬉しいけど、
本当はね、2号ライダーの、一文字隼人役の、佐々木剛君にも
来て貰うつもりだったんだけど、
何か、今、急に居酒屋での仕事の方が忙しくなって来たようでね、
ちょっと、無理だって、断られちゃったよ、」
カツ丼小僧
「あ、ちょっと、本題に入る前に、一つ、お聞きしたいんですけどね、
藤岡さんの名前は、最後に句読点が付いて、
「藤岡弘、」という事で、いいんですね、
どうも僕、神経質な性格の上に、姓名判断なんか、やっていますものでね、
ちょっと、ここで、はっきりさせて置きたいんですよ、」
藤岡弘、
「はっはっはっ、そうだね、この、最後の、ちょんはね、確かに僕の意志で
入れた物なんだ、もう、30年ぐらい前の事になるよ、
まぁ、理由はね、色々あって、もうここでは言わないけど、
詳しい事を知りたければ、ネットで確認してください、
まぁ、マスコミ宛てに、大々的に発表した訳ではないからね、
まだ、「藤岡弘」のままだと思っている人も多いよ、」
カツ丼小僧
「でも、仮面ライダーの恩師でもあり、原作者の石ノ森章太郎さんも、
ちょうど、藤岡さんと同じ、1984年頃に、ペンネームを「石森章太郎」から、
「石」と「森」の間に、ちょんをいれて、「石ノ森章太郎」、としていますが、
こういうのって、果たして偶然なんでしょうかね?
僕には、仮面ライダーの師弟関係という事で、
なにか韻を踏んでいるかのようにも、思えるんですが、……… 」
藤岡弘、
「はっはっはっはっ、それは、君の考え過ぎじゃないのかねぇ、
ただの偶然だと思うよ、」
鎌かける
「え~~、それでは、ここで、藤岡弘、さんに、往年の仮面ライダー1号の
変身ポーズを、皆さんに、ご披露して頂きましょう、
さ、さ、藤岡さん、どうぞ、こちらへ、………よろしくお願いします、」
藤岡弘、
「ええ~~? それ、本当? そんな話、聞いてないよ~~、
ちょっと、気恥ずかしいなぁ~~~、 弱っちゃったな~~、どうも、……… 」
藤岡弘、は、照れくさそうに頭を掻き、おもむろに立ち上がると、
鎌かけるの隣にある、幾らかスペースの空いた座敷の上に立った、
そして、大勢の招待客に向かい合うと、深々と会釈し、深呼吸をした、
その、人懐っこい笑顔は、何か、人前で変身ポーズをとる事が
まんざらでもない様子にも見えた、 会場からは、大きな拍手が鳴り響いた、
鎌かける
「さぁ、それでは、やって頂きましょう、懐かしの変身ポーズ、
仮面ライダー、本郷猛、……… お願いします、」
藤岡弘、
「ん、……… 」
藤岡弘、は、仁王立ちになると、やや、こわばった表情になり、
左手を腰に当て、右手を高く、斜め上空に突き上げ、
「ライダー~~~~、……… 」、と呟きながら、右手を回し始めた、
「へんし~~~~~ん、 とぉぉぉぉぉぉぉ~~~~~~~~っ、」
無事、変身のポーズを終えると、会場内からは、再度、大きな拍手が起こった、
藤岡弘、は、また、照れくさそうに頭を掻きながら、カツ丼小僧の隣の席まで戻り、
座布団の上に、どっかりと腰を下ろして、胡坐を掻いた、
藤岡弘、
「いやぁ~~、恥ずかしい、……… でも、皆さんの盛大な拍手を受けて、………
こういうのは、何度やっても、気持ちの良いもんだ、スカッとするなぁ、……… 」
カツ丼小僧
「どっちなんスか、………? 」
今井優子
「藤岡さん、カッコ良かったわ、……… 素敵、……… 」
藤岡弘、
「あの変身ポーズはね、実は、柴田練三郎の小説、「眠狂四郎」の
円月殺法のポーズを僕なりにアレンジして取り入れた物で、僕の考案なんだ、」
カツ丼小僧
「子供の頃、よく、やらせて頂きました、2号ライダーの変身ポーズと一緒にね、………
ウルトラマンや、ウルトラセブンの変身ポーズじゃ、
やっても、まったく、サマになりませんしね、………出来ませんよ、………
でも、話によれば、歴代仮面ライダーの中で、現在、一番人気のあるのは、
仮面ライダーV3だそうです、ホントなんスかね?
いや、今のように、V3のパチンコが出る以前からですよ、………
僕、子供の頃、1号、2号には、メチャクチャ惚れ込んだんですがね、
こう言っちゃ、V3関係の人達には失礼なんですけど、
V3に変わったとたん、なんか、僕的には、不細工過ぎて、カッコよくなくて、
好きになれなくて、ライダーファンを辞めちゃったんです、
まぁ、そろそろ、小学生時代も半ばに来ていた頃だと思うんですけどね、」
藤岡弘、
「おいおい、そんな事を言っていると、また、……… 」
そこで、また、宴会場の襖が開いて、一人の体格のいい男が現れた、
仮面ライダーV3の、風見志郎役を演じていた、二枚目俳優、宮内洋である、
宮内洋
「おいおい、カツ丼小僧、今、お前、何て言った?
仮面ライダーV3の魅力がわからねえ奴は、許しちゃおかねえぞ、
変身 ! ! ぶいすりゃぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~っ、」